松戸まつど
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みどり・農 2023年9月4日

松戸さんの野菜はなぜ美味い?~誰もが安心して食べられる無農薬栽培に取り組み30年~

「今日は松戸さんのよ」と食卓にサラダや枝豆が上がり
「美味しい~、甘いしコクがあるね」と話が弾みます。
特にサラダは、酢・塩・胡椒のシンプルな自家製ドレッシングで食べると味が引き立ちます。

  • 四角豆(左)と浅漬けに乗ったラディッシュ(2017年に撮影)

  • 今年の枝豆

  • 鮮度、価格、産地やブランド、安全性… みなさんが野菜を選ぶ基準は何ですか?

    我が家で松戸さんの野菜を買い求めるようになって7年目。
    今回は、松戸市大橋で無農薬栽培に取り組む農家の松戸英樹(まつどひでき)さんを取材しました。

  • 松戸市無農薬栽培研究会のポロシャツを着る松戸さん

  • 無農薬栽培とは?

    今年、農家有志で「松戸市無農薬栽培研究会」を結成して30周年を迎えるそうです。

    ― 「無農薬」栽培とはどのようなものですか?
    「まず、化学肥料を使いません。自分が万能と思う有機肥料は鶏糞です。食用の卵を生産するために安全に飼育された健康な鶏の糞は安心です。カルシウムを重視した飼料が与えられているそうです。それと農協の有機肥料、私はさらにワイン用のブドウの絞り粕も使います」

  • 鶏糞の有機肥料

  • 防虫ネットと土の表面を覆うマルチ

  • ― 無農薬で害虫をどう防ぐのですか?
    「健康で虫にも強い野菜作りを目指していますが、対策として虫除けネットをかけています。土にマルチ(表面を覆うこと)をして虫除け、太陽光の熱で殺菌もします。害虫は偏食なので畝(うね)に野菜を混在させ栽培しています。例えば一つの畝にラディッシュ、ルッコラ、ミニチンゲン菜、水菜の順に列にして植えることで、虫に食われる確率を下げているのです」

    6日ごとに種を撒く枝豆

    ー 枝豆が5月下旬から秋まで店頭に並ぶ理由を教えてください。
    「枝豆の種まきから収穫までおよそ90日。夏の最盛期で60日なんですが、畑には種まきの日から数えて6日ごとの畝があるんですよ。苗を植えた後の畝から収穫する畝まで並んでいるでしょう。これで常時収穫ができるのです」

    なるほど!耕されたふかふかの畑の横に、苗を植えたばかりの6日目の畝、12日目、18日目… と並び、収穫用、収穫後の畝が見えました。

  • 6日に1回種まき、6日後に苗を畑へ

  • 左方向へ6日ごとの畝。ふかふかの畑

  • 鮮度保持などの工夫

    ― どのようにして出荷しているのですか?
    「もいだ状態のパックの方が便利と言われますが、鮮度が悪くなりやすく、変色して見た目も悪くなりますから枝を残しています。枝豆は枝から養分を得ています。昔の八百屋では鮮度保持のため、切った根っこ側を水を張ったバケツに入れて鮮度を保っていました」

  • 茎を袋詰め用に揃えて切って洗浄

  • この一袋に凝縮された生産者の気持ち

  • 「店頭で選びやすいように表側に豆を揃え、ビニール袋は手で簡単に切れるように紙テープで結んでいます」

    野菜の自動販売機!?

    松戸さんの野菜はヤオコー市川中国分店リブレ京成三矢小台店ライフ松戸二十世紀ケ丘店コープ新松戸店「地元野菜のコーナー」に並んでいるそうです。季節によってまつど農産物直売所「まつぼっくり」(JAとうかつ中央馬橋支店裏手、土曜日13時~16時)にも。なお、収穫量によってはすべての店に並ばない場合もあるとのことですのでご了承ください。しかし、ここで耳寄りな情報!

    なんと!松戸市大橋692番地1の畑に自動販売機が。冷蔵機能付きで鮮度抜群!しかも、ちょっとお得だそう。
    場所はグーグルマップで「まつどさんちの直売所」と検索すると出てきます。

  • 袋詰めまで心を込めて

  • 9時頃から19時くらいまで販売

  • 農家の休息

    今年、松戸市の農業委員を退任した松戸さんですが、多くの地域活動に加え、南部市場(松戸市公設地方市場運営審議会)、市役所(松戸市農産物ブランド化推進協議会)、農協(JAとうかつ中央農業協同組合)の会合にも顔を出します。

    ー 朝早くからの収穫、出荷、畑づくり… 一体いつ休めるのですか?
    「たまにナイターで学生時代からやってるテニスを。それと、子どもの頃から自転車をいじってましたので車の整備も得意です。家族それぞれが畑に行くので軽トラ、トラック、乗用車とたくさんあります(笑)。タイヤ交換はもちろんランプの交換までしますよ。春から夏までは遠出は難しいですが、温泉に行ったり、『ツール・ド・三陸』という自転車イベント参加を兼ねて、石巻市の漁師さんと交流してます。漁師さんも自らの手で養殖、加工、販売まで行っているので仕事柄興味深いです」

  • (右)漁師の西条達也さん(宮城県石巻市北上町十三浜にて)

  • 第12回ツール・ド・三陸(岩手県陸前高田市)
    撮影:齋藤明子さん

  • 無農薬栽培への挑戦

    足を踏み入れてすぐに感じる土の柔らかさは、長年、無農薬で耕してきた結果だそうです。
    「輪番です」と笑いつつ、この4月から2度目の松戸市無農薬栽培研究会の会長になった松戸さん。

  • 「買っていただいたみなさんから“美味しい”、“野菜を食べない子どもがたくさん食べるようになった”、“ドレッシングより塩とオリーブオイルで食べるようになった”という声をいただくのが一番嬉しいです。これからも安心して食べられる美味しい野菜を届けたいです」

    畑を訪れ、消費者にも、生産者にも、そして自然にもやさしい取り組みを始めて30年目を迎えた松戸さんの無農薬栽培の野菜が、一層美味しく感じるようになりました。

    千葉 淳

    千葉 淳 (ちば じゅん)

    「人生は旅」、学校卒業後、松戸市民から転勤族に。東北勤務時代に家族と「おくの細道」をたどるサイクリングを始めました。平成26年、転勤で帰郷をきっかけに市民ライターに応募。週末は”松戸芭蕉”になり、自転車に乗って松戸再発見の旅にでかけています。

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