皆さんはお鍋に何を入れますか?お好きなお肉や魚をメインにして、あとは白菜や豆腐でしょうか。
ねぎにはアリシンと言う成分が含まれており、殺菌効果や血行促進、疲労回復効果があると言われていて、寒いこの季節の風邪予防にもピッタリの凄い食材。
松戸の特産のねぎ2種
あじさいねぎ(上)と矢切ねぎ(下)
赤ちゃんとご対面
矢切地区は、皆さんご存じの某演歌に歌われた渡し船で有名な地。松戸市の西端、6号線から江戸川に沿った北総線の手前辺りの地域で、この冬の時期には富士山がとても綺麗に見えます。
スカイツリーと富士山が見えます
近藤 泰久(こんどう やすひさ)さん
指定された畑に着くと、待っていた近藤さんが『これ見てくださいよ、小さいでしょう』と抱えて見せてくださったのが、4月10日に蒔いた種から成長した苗。“矢切ねぎの赤ちゃん”です。
記者『え?カットするのですか?どうやって?』
近藤さん『手作業で切り揃えています。』
記者『植える前から大変な作業なのですね。』
近藤さん『そうですね、苗もですが土の方も。しっかり栄養が取れるように良い土を作ってやらないといけません。良いねぎは土で決まると言って良いかもしれませんし、農家ごとで配合や種類が違うのでその辺りで違いが出ます。』
と教えてくれました。
畝を作り終えたら肥料を蒔き、苗を迎える最後の準備。
畝の底に細い溝を作っています
と言いながら取り出したのが近藤さんの秘密道具。100円ショップやホームセンターで揃えた物だそうで、椅子と台車を組み合わせた手作り。これに座って苗を植える事で、足腰が痛くなるのを防ぎ効率を良くし、田植えと同じように後ろに進みながら丁寧に植え付けていきます。
近藤さん自作の秘密道具
なるほど!
手作業で切り揃えられた苗
愛情をこめて植えていきます
近藤さん『12月か来年ですね。』
記者『え?だとすると、ねぎ畑って1年がかりなのですか?』
近藤さん『まぁそうなりますね。』
記者『ねぎと言うと薬味に切ったあと、根元を水に浸けておけばすぐ伸びるというイメージもあり、そんなにかかるとは(汗)』
近藤さん『それは青い葉ねぎですよね。うちのは土にしっかりと埋めてやらないと良いものが出来ない、手間のかかるやつなんです(笑)』
記者『すみません、大阪出身なので青い葉ねぎを思い浮かべ、白いねぎの事はあまり詳しくなくて。』
成長した姿
近藤さんから『土寄せしますよ』と連絡を頂き、何をするのだろうとワクワクしながら畑へ到着。
おや?あの深い溝のあった畝のでこぼこが小さくなり、平らな感じになっていますね。
10月3日の畑の様子
と言いながら機械に手を掛け、ねぎとねぎの間を真っ直ぐ進んでいきます。
土を掘りながら進み、その土は左右に積み上げられていくので、ねぎの伸びた部分が土に覆われていきます。文字通り土を寄せていくのですね。
近藤さん『ねぎは上にしか伸びませんよ(笑)。』
近藤さん『ほら、ここに白い髭みたいな根が見えますよね。根は植えたときから変わらない場所にあり、栄養や酸素を欲しがって外へ上へ伸びていきます。なので栄養を与えるためにも、土を寄せて被せてやるということは利にかなっているんですよ。』
記者『植える時に大きな畝を作り一番底に植えたのは、後からこの土を被せていくためだったんですね!』
近藤さん『その通り。もちろん肥料を入れ、その栄養たっぷりな土を被せていく事で、しっかりと栄養を吸ってじっくり育っていくんです。』
近藤さん『去年、鉄腕ダッシュ(日本テレビ)に出演した時にもこの話をさせて頂きましたが、矢切ねぎがここまで太くなる理由は、1年を通じての土の中の水分量が、他の土地と比べて比較的多いので成長に向いている、というのがあります。この地は市内の地形で見ると少し落ち込んでいて、水が流れ込んできます。その水が重要で、寒くなると土の水分が凍ってストレスを与え、ねぎは身を守ろうとして甘味を溜め込んで美味しくなる。それでこの矢切の土地、環境で育てたものを“矢切ねぎ”と呼ぶようになりました。』
土の中の水分量が多いことが、矢切ねぎの太さや甘さの秘密でした
近藤さん『台風!本当に台風は敵です!以前大型の台風が来たときには900坪のねぎが倒されてしまい、手直しをするのに大人3人がかりで10日はかかりましたね。』
記者『大人3人で10日?それは大変でしたね。』
近藤さん『本当に大変です。台風来ないで欲しいです。』
台風で倒れてしまった矢切ねぎ。1本1本手直しします。
旅立ちの日に
11月20日の畑の様子
と言って畑に入り、今までとは違うマシンで、ねぎの片側半分の土を削っていきます。
記者『機械を使うというので、一気に掘ると思っていました。』
近藤さん『土を寄せ上げているので土はそんなに固くなく、半分削ってあげればほら、この通り、、』
と、ねぎに手を掛けるとスッ、、と抜けていきます。
収穫の様子。1本1本、丁寧に引き上げていきます。
あまりにも簡単そうに抜いていくので、記者も土を触らせて頂きましたが、固くなくホロホロと崩れる柔らかさ。
記者『葉を取ってしまうのですか?』
近藤さん『箱に入れるときに青いところばかりでは見た目も何ですし、うちはこの姿で出荷しています。』
記者『なるほど、でもここは手作業なので一番大変そうですね。』
近藤さん『そうですね、一本一本屈んで引き上げていくのは少し辛いです。でもここまで育ったねぎなので大切に、不要な葉を落として綺麗な姿で出荷してあげたいですからね。』
ええ、まだこれ以上太いものですか?(やっとここでタイトルの「極」が出てきましたね。)
収穫を見せて頂いたねぎと同じくらいの物にもう一度土寄せをし、更に太く完熟させた最高級品だそうです。
予約販売になっていますので、お問い合わせしてみてください。
どこで食べられるの?
麺割烹 亀壱「炎のねぎらーめん」
こちらでは、カネキ近藤農園の矢切ねぎを1本丸々使用した『矢切ねぎ強火炒め』、そして『炎のねぎらーめん』をシーズン終了まで提供しています。
時節柄、定休日や営業時間、予約など、ご確認の上でお出かけください。
松戸市本町7-17 AKBLD24 matsudo 1F 電話:047-308-3333
『矢切ネギのネギ増し』や『矢切ネギの焼きネギ』がラーメンやつけ麺のトッピングとして楽しめます。
矢切ねぎが豪快に使われています
トッピングにも
最後に
そしてまた種を蒔き、新たな1年が始まっていく。
松戸の地で大切に手間をかけ育つ矢切ねぎ。この記事をきっかけに知って頂けたら幸いです。