サヨナラ新京成
1946年に新京成電鉄株式会社が設立、翌年から運行を開始し、松戸市民に親しまれてきた『新京成線』が2025年4月1日から『京成松戸線』に変わりました。車両のデザインが変更される前に慣れ親しんだピンク色の電車を撮影しようと、にわかに鉄道ファンで賑わった松戸市。
そんな3月末の新京成沿線をふらりと散歩してみました。
2025年3月31日。松戸駅から上本郷駅、松戸新田駅、みのり台駅、何本もの電車を見送りながら八柱駅方面へ向かって歩いていると、満開の桜の木を見つけました。
ピンク色の車両にきっと映えるだろう!とカメラを構え、鉄道ファンになったつもりでパシャリ。

新京成線のピンク色の車両と満開の桜を撮ってみました

動画と写真に残そうと撮影する親子連れ
ふと見ると、撮った動画を確認する親子連れの姿が。
記者『新京成を撮っているのですか?』と聞くと
母『この子、初めてしゃべった言葉が「シンケイセイ」なんです。それくらい好きなので残しておきたくて』
なんと、産まれて初めて話した言葉が新京成!すごい子どもに出会えました。
駅の中も見ておきたくて、いったん松戸駅へ。
すると、たくさんの人達が新京成の車両を撮影しています。

先頭車両や出発する姿を撮る人達

熱心に撮影する男の子
中でもひとり、熱心に撮影している男の子がいたのでお母さんに話を聞くと、
母『この子、生まれてからずっと電車が大好きで、まだおしゃべりできない時も指さして「で、で」と声を出していたんですよ』
記者『それで熱心に撮影しているのですね』
母『将来は新京成の運転手になりたいらしくて勉強もしているんです。なので、なくなると聞いて寂しくて‥』
新京成線の名前はなくなるけれど、京成松戸線となり新たな出発を迎えるので、ぜひ将来その運転手になれると良いですね。
いったん改札を出て周りを見回すと、新しい看板が仮止めされていて、一部は早々と『京成線』に変わっていました。

改札の上、新しい看板が黄色いテープで仮止めされています

一部は早々と「京成線」の表示が貼られています
“新京成を愛でる会”で一緒にお別れ
さて、もう一度改札をくぐって新京成線に乗り、一路、みのり台駅へ。
この日、地元みのり台だけでなく五香や柏や我孫子から集まった人達で“新京成を愛でる会”を開催するというので、そちらにお邪魔させていただくことに。
会場へ行くと、新京成線がよく見える場所に集まった人達が持ち寄りパーティーで盛り上がっています。
もちろん話題の中心は新京成線。
『学生の頃、通学で使ってた~』
『今も仕事に行くとき乗るけど止まらないよね』
『台風でも動いてるよね(笑)』
『そうそう、絶対これだけ止まらないの』
などなど、思い出話で盛り上がっています。

持ち寄りのご飯だそうですがすごいご馳走です

電車が来ると写真を撮ったり手を振ったりしていました
しばらくは雨模様で室内から新京成線とのお別れを惜しんでいましたが、夜もふけて雨が弱まったので外に出てみると、

別れを惜しむ地元のSさん
“愛でる会”の参加者で地元に住むSさんが佇んでいました。
Sさん『このピンクの電車が無くなるのは寂しいですね。もっと寂しいのはクリーム色の方。若い頃には地味な色だと思っていたのですが、大人になって見ると落ち着いていて、なかなか無い素敵なレトロな車両だと思えるようになりました。それが全て無くなってしまうのはやはり寂しいです』
と、昔を思い出しながら全ての車両を見送っています。
とうとうお別れの瞬間~ラスト新京成~
最終電車がみのり台駅を出発しました。
去り行く後ろ姿を見送り振り向くと、作業員の方達が脚立を持ってやってきました。そして‥

最終電車が出発

あっ

ああっ

あああっ

とうとう真新しいブルーの看板が姿を現しました
見守っていた方々からは拍手が湧き上がり、寂しさと同時に、新しい出発を祝う不思議な感情が溢れていました。

最後まで別れを惜しむ人たち。名残惜しそうに見つめていました
そして、新・京成
時は過ぎ、5月も終わりに近くなった頃。
おや?目の前を今まで見たことのない色の車両が走っていきました。

京成松戸線の新しい色の車両
そう、“京成松戸線の新しいカラー”の車両です。
ピンク色の車両でなくなっていくのは寂しいですが、こちらはシャープな感じでとてもカッコイイ。
これからは京成松戸線として皆に親しまれ、活躍してくれることでしょう。
さてまた次も、ふらりとよりみち散歩でお会いしましょう。