松戸まつど
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松戸の神社へ行ってみよう

皆さんは初詣には行きましたか?

松戸市には62の神社があり、それぞれの地域の守り神として鎮座されています。

  • 中和倉の熊野神社(2025年1月1日)

  • 私が住む中和倉(最寄りは馬橋駅)には、熊野神社があります。お祀りしている神様は、伊邪那美命(いざなみのみこと)です。和歌山県の熊野速玉大社(くまのはやたまたいしゃ)から勧請(かんじょう ※神仏の分霊をお迎えしお祀りすること)し、1702年に神社を創建しました。今では2,000世帯が暮らす中和倉ですが、明治5年は19戸の小さな村だったと看板に書いてあります。勧請は一大イベントだったのでしょうね。

    皆さんの近くの神社にも由緒を書いた看板が立っていると思います。熊野神社を例に書きますが、どこの神社も似ていますので、「近所の神社の楽しみ方」として参考にしてくださいね。

  • 境内に並ぶ末社(まっしゃ)と記念碑

  • 庚申塔(こうしんとう)と手児奈(てこな)大神の祠

  • 熊野神社には、熊野以外からも神様をお招きしています。
    万葉集にも歌われた絶世の美女・手児奈大神を手児奈堂霊神堂(てこなれいじんどう・市川市)から勧請し、安産・子宝の神様として祀っています。娘さんが子宝にめぐまれなかったご婦人が参拝を続け、お孫さんを授かったという話を神社のお世話をしている奉賛会の方から伺いました。身近な神様ですね。
    他にも、お稲荷さんや天神様も勧請されています。江戸時代に建てられた疱瘡神(ほうそうじん)の石碑がある神社もありますよ。

    記念碑として庚申塔と二十三夜塔も並んでいます。庚申塔は、“庚申講(こうしんこう)”という集まりを3年間続けた記念として1761年に建立されました(約260年前)。
    庚申講は60日に一度ある“庚申の日”の行事です。その夜に、体の中にいる三匹の虫が体を抜け出て天帝のもとへ行き、その人の悪事を告げると言われています。このため、虫が出て行かないようにみんなで寝ないで見張るのです。「うそでしょ?」と思うかもしれませんが、戦前までは日本各地で行われていて、松戸市内にも多数の庚申塔が残っています。皆さんのお住まいの近くにもあると思いますよ。酒食を楽しみながら“オール”したようですが、中和倉ではどうだったのでしょうか。

    二十三夜塔(1853年建立)は女性メンバーが多かったと言われる二十三夜の月を待つ行事の記念です。月の出は深夜なので、それを待って宴会?をしたようです。昔の人も元気ですね。富士登拝などの記念碑が建つ神社もあり、その土地の歴史が感じられます。

  • 参道脇の石は力石(ちからいし)といいます。今では子どもたちが上にのって遊んでいますが、かつては村の若者たちが石を持ち上げて力を競いました。「中和倉村」と彫られており、中和倉村が合併でなくなった明治22年以前のものだとわかります。神社は昔からの遊び場なのです。

    【豆知識①】公園ができたのは明治6年。寺社の境内や川原はその前からの遊び場でした。自動車がなかったので、道(未舗装)も遊び場でした。

    神社の行事

    神社の一番大きな行事は毎年行われる例大祭(れいたいさい)。熊野神社では、10月19日に近い日曜日が開催日です。例大祭では、神様にお神輿に乗っていただいて、山車(だし)と一緒に町内を巡ります。小ぶりな神輿と山車ですが、私の子どもも喜んで引っ張っていました。子どもたちにはお菓子が配られます。

    【豆知識②】“日曜日”ができたのは明治9年。それまでは村々で休日を決めていました。祭礼の日はもちろんお休み。今では祭礼が平日だと集まりにくいので、日曜日に開催する神社が多いです。

  • 二年参りの参拝者の行列

  • 集会所での甘酒やお神酒の振る舞い

  • 初詣も大行事。大晦日から元日にかけて二年参りをする方が並びます。参拝を終えると旧年中のお札(神様の分身)や破魔矢などを納めて、新しいお札などを買って帰ります。奉賛会(ほうさんかい)の方々が甘酒を振る舞ってくれますよ(子どもたちにはお菓子を配布)。

    奉賛会の荒井会長にお話を伺いました。20名強の方々が、会員として行事の催行や清掃活動をされています(白いハッピを着ている人が奉賛会の方です)。神主さんは常駐していないので、氏子にお札を配り、初詣でお札を授与するのも奉賛会の皆さんです。お札は350枚ぐらい出るそうですよ。
    奉賛会は、中和倉の三つの町会と緊密に連携していて、町会の会長・副会長は奉賛会の相談役などを兼任しています。

    境内での人気イベントは、町会が主催する年末の餅つき大会。昨年は11時に行ったら売り切れでした。コロナ禍前は、薪の火力でもち米を蒸して、木の臼と杵で餅をついていましたが、今は餅つき機を併用しています。ここにも担い手不足の影響が出ているのでしょうか。

  • 餅つき。できあがったきな粉餅と白餅は一つ100円(2018年)

  • 餅つき当日の境内(2018年)

  • 神社の向かいには集会所があり、町会の集まりや子ども食堂などが開かれています。
    外国人に「神社で会議?私はキリスト教ですが大丈夫ですか?」と聞かれたことがあります。神社の集会所は神事だけに使われる施設ではなく、コミュニティーセンターの役割もあります。これも江戸時代からの名残りですね。

    神社は集落の中心。いろいろな足跡が残っています。訪ねてみませんか。

    福島 幸生

    福島 幸生 (ふくしま ゆきお)

    就職し働き始めたのが松戸市内の事業所で、退職後も松戸に住んでいます。便利で自然豊かな良いところですね。私は、現在、観光ガイドや日本語教師として活動中です。市民ライターになったばかりですが、これからは松戸の散歩が楽しくなるような歴史トピックスや松戸に住む外国人の方々について、お伝えしていきたいと思っています。

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