『小さくても泳ぐ姿は立派なアユよね~』
水槽の中で体をキラキラさせて元気に泳ぐ稚アユを見て子供はもちろん大人までが歓声を上げたり笑顔で覗き込んでいます。
そう、松戸市漁業協同組合が展示用水槽に用意してくれた、江戸川を遡上する「稚アユ」です。
※遡上(そじょう):流れに逆らって上ること、稚アユ(ちあゆ):こどものアユ
身近な江戸川に『アユ』が泳いでいることを知っていますか?
記者は恥ずかしながら今年、あるイベントを教えていただくまで知りませんでした。
そのイベントとは毎年4月に行われる『江戸川の稚アユ救出作戦』。
2016年は4月17日(日)に開催です。
時間・場所など詳細は、facebookページ「えどがわさんぽ~tonedoネット~」を。
当日お手伝いしてくださるスタッフも募集中とのことです。
『江戸川のアユ』と聞いて、記者はなんだかワクワクして取材に行ってきました。
利根川・江戸川流域ネットワーク(TON-E-DOネット)代表の佐野郷美さんが作戦について熱く語ってくれました。
『江戸川の下流には水門や水閘門(すいこうもん・船が行き来するための水門)があります。春になって海から遡上してきた稚アユの多くが、これらに阻まれて上流へ上がっていけません。水門、水閘門に魚道がないからです。「魚道を作ってほしい」というお願いを兼ね、子供たちとボートで水閘門を通るイベントを実施して、川と親しんでもらいながら稚アユを上流に逃がしてやろう!と言うのがこの救出作戦です。』
船橋市から参加の家族は、
『参加するのは初めてです。Eボートに乗れるのは小学生からと聞きましたが、アユが見られると聞いたので来ました。』
『お魚ちっちゃいけど元気だね』
とお子さんは初めて見るアユに興味津々の様子。
TON-NE-DOネット代表の佐野さんより開会の挨拶。
実は記者は打ち合わせで大型紙芝居の係りを引き受け、当日ナレーションを仰せつかり沢山の家族の前で読み上げさせていただきました。マイクの不具合もありましたが、大声の得意なメンバーで助かりました。
船橋市から参加の高校生達が、子供たちの体格を見ながら乗る船を右に左に割り振っていきます。
ライフジャケットを着せてもらった兄弟は
兄『みてみて。ぴったりでカッコイイでしょ』
妹『ちょっと怖いけれどお兄ちゃんが居るから大丈夫』
紙芝居のアユの姉妹に負けていませんね。
アユの泳ぐ川へ
一人ずつゆっくりと乗り込むと、さあアユの泳ぐ川に漕ぎ出します。
子供たちはもちろん大歓声!
お母さんたちの『こっち向いて!』の声も耳に入らない様子。
無我夢中で川面を滑っていきます。
もちろん周りでは、カヌー愛好団体がやさしく見守ります。
『半分趣味ですが子供たちのキラキラ輝く笑顔を見られるなんて、やっててよかったと思います。もし水に落っこちても大丈夫ですよ。』
頼もしいですね。
途中子供たちは上がった水閘門の下をくぐります。
『わあ、重たそう、大きいね!』
『落っこちてきたらどうする?』
『ぺちゃんこだね!』
『やめてよ、怖いじゃん!』
さっきまで知らない子供同士も同じボートに乗って仲良しのアユのように遡上していきます。
クイズラリー
ボートに乗れる人数は決まっているため、整理券が配られています。順番を待つ間、陸に残っている子供たちはというと、こっちも元気に走り回っていました。
高校生ボランティアたちが、クイズラリーのお手伝い。
実はこのクイズ、正解しながら回っていくと絵ハガキがもらえて、全部集めると先ほどの紙芝居が完成するんです。
早く集めたい子供は会場を隅から隅まで駆け回っていました。
子供のイベントだけのように思われがちですが、会場には昔のアユ漁の資料などが飾られていて、ボートに乗っている子供を待つ間に、ちょっとしたアユ博士になれたりします。
たまたまいらっしゃった熟年のご夫婦が昔を懐かしんで見ておられたのが印象的でした。
繋ぎ行く命
今回の取材でまず驚いたのが、都内に電車で行くときに渡る身近な『江戸川』にアユが居ること。
その川に門があること。
アユが遡上するのに大変な思いをしているということ。
そして、沢山の人たちが関わってアユを守っていること。
本当に素敵な取り組みだと思いました。
今回紹介した「江戸川稚アユ救出作戦」は、今年も開催します。
江戸川の元気なアユに会いに来ませんか?
日時:2016年4月17日(日)午前10時~12時(終了予定)
会場:江戸川水門前(江戸川区)
内容:大型紙芝居「江戸川のアユ」、クイズラリー、稚アユ流水水槽展示、救出作戦(水門を開けてボートで水門の下流から上流に移動しながら、稚アユを遡上させます)
※ボート乗船は子ども(小学生以上)が対象
参加費:1人200円(保険代、資料代含む)
服装・持ち物:汚れてもいい服装、ぬれてもいい靴、帽子、タオル、飲み物、(お弁当)
問い合わせ:TONE-E-DOネット 佐野090-6146-1067 橘080-6640-4021
本郷谷市長のコメント
子供達が川の環境に興味を持つことが出来る素晴らしいイベントです。
松戸市からもEボートをお貸ししますので、沢山の皆さんに楽しんで貰えると良いですね。
会場地図(実際の会場は、ピンの東側の篠崎水門よりです)
体験してきました
もちろん、すべての子供の乗船が終わってからボランティアの学生たちと同乗です。
乗ってから安定するまではしばらく揺れたものの、漕ぎ出してからはとてもゆったり。
学生ボランティア達の若さあふれるパワーで漕ぎながらも同乗しているボートのスタッフが、
『もう少し力を抜いておかないと帰りがきついですよ♪』とアドバイス。
きっと、水の中のアユ達も経験豊富な仲間に見守られながら楽しい旅をしていることでしょう。