松戸まつど
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“ゆめおむすび” 絵本制作に挑む~「風の子フゥ」を生んだ松戸のやさしい暮らし~

映えるメニューを撮ったり、近況報告したり。そして、手前ここに取りいだしたるは……えっ!絵!?

  • 今回は、松戸を舞台とした絵本「風の子フゥ」を合作したペンネーム ゆめおむすびこと、アーティストの佑芽(ゆめ)さんとライターの後藤美加(ごとうみか)さんを取材しました。お二人は元同僚とのこと。

  • 後藤美加さん(左)と佑芽さんきてみてまつど通りにて

  • 「風の子フゥ」とは?

    絵本「風の子フゥ」は、「ぼくはフゥ 風の子フゥ いつだってこの町にいるよ」と、主人公フゥが周囲の人を見守る物語。
    なぜこの2人が絵本を作るのでしょうか?そして、フゥとは?

  • フゥの頭に松、旧伊勢丹?たい焼きは…あの? 

  • 南の島暮らし

    青くて大きな空と海、風にゆれたヤシの木の葉が一度きりの音楽を鳴らす、そんな島育ちです
    と語る佑芽さんは、韓国生まれのサイパン育ち。高校卒業後は済州島(チェジュとう)へ引越し、済州大学日語日文学科卒業。

    2016年 松戸市美術展 松戸美術会賞・新人賞同時受賞
    2017年 新制作展 初入選(連続入選中)
    2018年 東京・Galerie Soleilで日本初個展
    2022年 第75回女流画家協会展 国沢パネル賞
    2023年 ソウル・Gallery Go Artで韓国初個展
    2024年 PLAS 2024 CONTEMPORARY ART SHOW 初出展

  •  PLAS 2024 CONTEMPORARY ART SHOWに出展(中央の9枚) 写真提供:佑芽さん

  • ― 佑芽さんは、なぜ松戸で活動を始めたのですか?
    「NHKワールドの子供向け番組を観て育ち、年末は紅白歌合戦を観たりしていたので自然と日本が好きになり、いつか日本に行きたい!と思うようになりました。ご縁があり松戸美術会の先生たちに出会い、松戸の良さを知ったことがきっかけになりました」


    日本有数の公募展に入賞している佑芽さんがなぜ絵本も?取材を続けます。

    やさしいまつど暮らし

    「この物語は、2016年頃の通勤時に坂川沿いを歩いたり、コーヒーショップで休んで周囲を眺めていた時にふと感じた、優しくて親切な人が多い松戸の暮らしやすさを書いたものです」
    と語る後藤さんは我ら「まつどやさしい暮らしラボ」の市民ライターで、今回の仕掛け人。家庭では2児の母。保育士をしながら絵本作家を目指しています。

  • 後藤美加さん

  • ー なぜ今回の企画を?
    「実は6年間コピーライターとして働いてました。大学卒業後、日々の業務に追われながらもやりがいのある仕事を見いだせずにいた頃、通勤電車の広告コピーの言葉に、気持ちがぱっと明るくなったんです。言葉ってすごい力を持っているんだ!と。一念発起してコピーライター養成講座に通い、転職しました。広告パンフレットのキャッチコピーやライティングを担当し、本当に楽しかったです。その後子育てのため転職し、松戸で同じ職場になった佑芽ちゃんと出会ったんです」

    あそびのせかい

    ー 松戸ではどんな職場でしたか?
    後藤「旧伊勢丹に出店していた「ボーネルンド(本社:東京都渋谷区)」は、世界の遊び道具を販売するショップと親子のための遊び場があり、私も佑芽ちゃんもプレイリーダーと呼ばれる“遊び方を教える”仕事をしていました。
    職場の雰囲気も最高で、佑芽ちゃんがクリスマスの日にお菓子を入れた袋に絵を描いてズラーっと並べて、皆にサプライズプレゼントしてくれたことも。伊勢丹の閉店に伴い転職した今も、連絡を取り合っています」

  • 2人の出会った職場(写真提供:ボーネルンド)

  • 元同僚と。右から佑芽さん、後藤さん(写真提供:後藤さん)

  • 佑芽「プレイリーダーもショップ担当も楽しかったです。退職後は後藤さんと表参道にあった絵本の聖地『クレヨンハウス』に出かけたことも。絵本グッズを買ったり、その頃は出版社に持ち込みもしていました。サイパン時代に親しくしていただいた絵本作家の宇喜多邦嘉(うきたくによし)さんを知っている編集者に巡り合い、絵本作家になることを強く意識するようになりました

    こどものせかい

    佑芽「アーティストとは知らず、島の人から変わり者と噂されていた移住者(笑)が宇喜多さんでした。大人たちはどうだったかわかりませんが、絵を描いていた私は好きでした。高校生になった私のことをエッセイに書いてくださって、絵本とともにいただきました

  •  宇喜多邦嘉「みんなの つき」(写真提供:至光社)

  • 至光社 月刊保育絵本「こどものせかい」(写真提供:佑芽さん)

  • 佑芽さんは、宇喜多さんが有名な月刊誌のアートディレクションを月に何本もこなすビジュアル・アーティストであったことを、日本に来てから初めて知ったそうです。

    風の子フゥの誕生

    後藤「松戸の人のやさしい心を「フゥ」という“風”で表してみました。困っている人や、ケンカしたときの心の引っ掛かり(トゲトゲ)を見かけると『よし。ぼくにまかせて』と背中を押してくれます。2013年頃、佑芽ちゃんに作画を依頼し、一旦完成。昨年(2023年)に修正してフゥは新たなキャラクターになり、鮮やかな背景とともに完成しました」

  • インク、水彩絵の具、オイルパステル、ソフトパステル使用

  • 佑芽「最初はフゥは透明で、そこに感情を表す色を付けてみたり、自分の画風を出し過ぎたので、描き直しを申し出ました。時間はかかりましたが、松戸に寄り添い、子どもでも描きやすい「フゥちゃん」というキャラクターに。美加さんの通勤風景も思い浮かべながら描きました」

    私たちにまかせて

    後藤さんが佑芽さんの絵の話を当ラボの編集会議に持ち込むと、市民ライター仲間たちが背中を押します。「この経緯を取材しよう」「WEBで公開しよう」さらには「たこやきパーティーで披露してみない?」という誘いも(笑)。

  • たこ焼きパーティー松戸市稔台麺割烹亀壱」にて)

  • 絵を披露する2人

  • こころに晴れ間

    佑芽「美加さん、フゥちゃんを生み出してくれてありがとうございます。私のフゥは、嬉しい時も、悲しい時も幸せな時も、辛い時も、どんな時もそばにいてくれる優しい気持ちになれるお守りのような存在です。私にとって、絵本は読んでもらった思い出や主人公と一緒に冒険する世界が、ずっとその人のお守りになると思うのです。この『風の子フゥ』が、見てくださった方の心の支えになればいいなぁと思っています」

  • 取材当日はまさかの土砂降り。みのり台駅ホームで

  • 後藤「佑芽ちゃん、絵を描いてくれてありがとうフゥの話を思いついた時、真っ先に佑芽ちゃんに絵を描いてもらいたい!と思いました。周りの人たちへの感謝の気持ちが『風の子フゥ』の物語です。ボーネルンドや松戸の旧伊勢丹が多くの人に愛されているように、これからもやさしい作品を生み出せればと思います」

    雨宿りの軒下で、絵本のラフスケッチを見ながら談笑する二人を見て「ほらね。こころに晴れ間がさしてきた」という「風の子フゥ」に描かれているやさしさを確信しました。

    松戸市のホームページで公開された絵本(全17ページ)はこちら!

    千葉 淳

    千葉 淳 (ちば じゅん)

    「人生は旅」、学校卒業後、松戸市民から転勤族に。東北勤務時代に家族と「おくの細道」をたどるサイクリングを始めました。平成26年、転勤で帰郷をきっかけに市民ライターに応募。週末は”松戸芭蕉”になり、自転車に乗って松戸再発見の旅にでかけています。

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