松戸まつど
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まちの人びと 2024年5月16日

HERO~消防団を支える縁の下の力持ち

新型コロナウイルスの影響でしばらく行われなかった消防団の操法(そうほう)大会。2023年は開催されるというので、久しぶりに消防団の皆さんの顔を見に行ってきました。

7月9日(日曜日)

15日の大会を前に、まずは記者の地元からと、二十世紀が丘方面隊の方面隊長点検にお邪魔してきました。

  • 二十世紀が丘方面隊の皆さん

  • さて、記者も久しぶり過ぎて何から伺おうかとふと足下を見ると、操法大会に使うホースが並んでいます。
    が、あれ?1本だけサイズが違う。
    ホースの長さが違うのかしら?と思い、近くにいた団員の方に
    記者「これは長さが違うのですか?」と聞くと
    団員「いえ、操法で使用するホースは全て長さは同じですよ(笑)」と言われました。
    いや、しかし見るからに明らかにサイズが違うような?そこで、訓練に来ていた33分団指揮者の小田倉(おだくら)さんに聞いてみました。

  • 橾法大会で使用するホース

  • 目の錯覚ではなく明らかにサイズが違うホース(左)

  • 小田倉さん「これはとりあえず巻いてあるので大きいんですよ。訓練の時のはこちらの小さい方です」
    記者「巻き方が違うのですか?」
    小田倉さん「これを担いで走るので、コンパクトな方が持ちやすくありませんか?なので訓練や本番では持ちやすく、走っている時に崩れないようしっかり巻くので、こちらの小さい方の大きさになります」

  • 説明をする小田倉さん

  • 記者「巻き方は全て同じなのですか?」
    小田倉さん「ホースには金具が2つ付いていて、それがずれないように押さえながら走るので、手で押さえやすいように巻きます。選手によって手の大きさなども違うので微妙に変えていますが、二重にして巻くのはどれも同じです」
    なるほど。選手によって巻き方を変えるなど、ホース1本にしても色々あるのですね。

  • ホースを巻き取る道具

  • 訓練の様子

  • 縁の下の力持ち

    消防団の訓練に使う道具に興味を示していると、32分団に道具のプロフェッショナルがいるらしいという噂を聞き、翌日そちらに行ってみることにしました。

    7月10日(月曜日)、松戸市立河原塚中学校の校庭。

  • 32分団の皆さん

  • 「こちらがプロフェッショナルの大曲(おおまがり)さんです」
    と紹介され現れたのは、ニコニコして優しい雰囲気の方(写真下段左から2人目)。
    記者「凄くこだわりのある厳しい方とお聞きしました」
    大曲さん「さて、どうでしょうね(笑)」
    隊長「厳しいですよ~(笑)まあ訓練を見ていってください」
    と言われしばらく見学をしていると、おや?
    的ってこんな感じだったかしら? 何となく不思議な感じ。

    大曲さん「気づきましたか?これ私が作りました」
    なんと手作りの的だそうです。驚いているとさらに、
    大曲さん「この防火水槽も、私が使いやすいようにカスタマイズしました」

  • 手作りの的

  • 手作りの防火水槽

  • 記者「どうして手作りされたのでしょうか?」
    大曲さん「こういう道具は、訓練の度に消防署まで借りに行くのです。その時間がもったいないと思い、作ればいつでも使いたい時に使えて時間短縮になるからです。その分練習ができるでしょう?」
    なるほど、皆のために手作りを‥ と感心していると
    隊長「ホースなんかにも凄くこだわりがあるんで聞いてやってください(笑)」
    と言うので大曲さんに聞くと

  • 巻き取りの機械にセットして

  • 慎重に巻き取っていきます

  • 大曲さん「ホースもただ巻き取っているように見えるでしょう?実は色々仕込みがあるんですよ」
    と見せてくれたのは、ほんの小さな「点」。

  • 良く見ないとわからない印

  • 微調整

  • 大曲さん「今日ホースを担いで走る選手の一番持ちやすい長さになるように、ポイントに印を入れています。そして巻き取るときも二重になるので、厚みを考えてずらす位置などもミリ単位‥ は大袈裟ですがそのくらい気をつけています」
    記者「すごいこだわりですね!」
    大曲さん「私は選手をしたことがないのですが、チームの一員として皆の役に立つことが嬉しいのです。皆さんも、何かをやっていていつもより時間が短くなったり、上手くいってひとつでも成功すれば嬉しいでしょう?皆が使いやすいように準備する、それが私の仕事で、喜びです」
    皆が使いやすいように準備をし、選手としての出場ではありませんが、チームを支えている道具のスペシャリスト。本当の“縁の下の力持ち”がここにいました。

    大会当日
  • 本郷谷市長

  • 市長「松戸市の火災は、皆さん消防団の方々の活躍のおかげで少なくなってきていて、感謝致します。コロナという大災害を乗り越えての4年ぶりの開催。皆さん頑張ってください」
    と、本郷谷市長の挨拶で大会がスタート。
    さあ、久しぶりの大会が始まりました。以前取材をした33分団や35分団、そして34分団1班で大きな声で号令をかけているのは、矢切ネギ農家の近藤さん。あちこち気になってしまいますが、さて取材をしてきた32分団がスタートします。

  • さぁ、スタートです

  • ホースが転がります

  • 32分団は10時過ぎに登場。記者も緊張の中、スタートしました。

  • ホースが延びていきます

  • カッコ良く決まってますね

  • 速い速い。そしてホースは、真っ直ぐ延びていきます。周りで見ていた人たちからも「速い!」と声がかかります。速さもですが、放水までの作業が流れるように綺麗です。
    こういうときに大曲さんはどうしているのだろうと探すと、後方の防火水槽にいました。

  • ホースを押さえる大曲さん

  • 競技終了後に聞いてみると
    記者「あれは何をしているのですか?」
    大曲さん「ホースを担いで走る選手ではありませんが、補助員という仕事なのですよ。給水しているホースが浮いたり抜けてしまうと水が送れないので、押さえています。押さえている間は前を見ていませんが、水の感じで『あぁ今日はうまくいった』とかわかるんですよ」
    記者「え、見ていないのにですか?」
    大曲さん「手の感触で、ホースの中を水がうまく流れてるとかわかります」
    うーん、手の感触でとはすごいと感心していたら、団員の方から
    「補助員の表彰があればNo.1間違いなしなので、ぜひ表彰するようにお願いしてください」と言われました。

    表彰の行方は‥

    緊張の表彰式。まずはポンプ車からですが、なんと優勝は34分団1班。記者の地元で以前から取材でもお世話になっているので嬉しいです。

    ポンプ車操法の部
     優勝  二十世紀が丘方面隊 第34分団1班
     準優勝 馬橋方面隊 第8分団
     第3位 大金平方面隊 第20分団

    そして取材している32分団のAブロックは‥

    〈小型ポンプ操法の部 Aブロック〉
     優勝  東部方面隊 第32分団
     準優勝 大金平方面隊 第19分団
     第3位 八ケ崎方面隊 第24分団

    おお、優勝ですね!やりましたね!

    〈小型ポンプ操法の部 Bブロック〉
     優勝  五香方面隊 第25分団
     準優勝 中央方面隊 第3分団
     第3位 八ケ崎方面隊 第22分団

    やはり25分団!強いですね。

  • キャプションを入力

  • 皆様おめでとうございます。
    表彰を終えて32分団の方々に感想をお聞きすると、
    「団員のチームワークと、やはり家族のサポートが無いと出来ない活動なので、家族には感謝しています」と。

    最後に大曲さんにもご挨拶すると、
    大曲さん「終わりは始まり。実は今、ホースから楽に水を抜く方法や道具を考えていて、更に時短になればと思っています。次回の課題ですかね(笑)」

    優勝してすぐに課題だなんて、さすが大曲さん。
    縁の下の力持ちらしいコメントをありがとうございました。

  • 優勝した32分団の皆さん

  • 縁の下の力持ちが支えた、「優勝」という素晴らしい結果を取材させていただき、ありがとうございました。
    新しい秘密道具も見に行きたいですね。

    次回はどこへ取材に行こうかな?
    ぜひ、うちの分団に!というところがあればご連絡お待ちしております。

    水村 和香

    水村 和香 (みずむら よりか)

    結婚で大阪から松戸に来て25年。中学で始めた女子サッカーの縁で松戸市サッカー協会女子委員長をしています。かつて「まつど観光大使」の活動をしていた中で感じた松戸の魅力をもっと発信したいと第1期市民ライターに応募。サッカーのコーチや防犯活動、子ども食堂の代表もしながら周りの小さな魅力を発信して行こうと今日も自転車で走り回っています。

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