素敵な発見!2018年1月15日

大人へのはじまり記念日~プロが教える松戸競輪場自転車教室~

自転車に乗れた日はどこから?

ある日の編集会議で
― 覚えていますか?自転車に乗れた日のこと
「補助輪が取れて、大人になった気分がした。」
「父がいつの間にか手を放していた。」

競輪場の広場で愉しいドラマ

子育て世代からは「自分たちの時代とは違い、最近は2才から『ストライダー(キックバイク)』で遊ぶので、小学1~2年生で乗れないとちょっと焦る。という声が聞かれました。

自転車のプロが教えます!

左から講師陣の五味先生、高田先生、藍野先生

まれにみる競争率

今回は、松戸競輪場で開催されている自転車教室を取材しました。

全く乗れない「ひよっこ」たち。幼稚園年中から小学2年生の10名。果たして何人が乗れたのでしょうか?

何と!土日の各日10名の定員に対し、130人もの応募があったそうです。
競争率6.5倍!!の自転車教室になりました。

教室開催日の朝が来た

両日とも10時開講で2時間の教室。
続々と集まる子供たちと親、祖父母、弟、妹…主催者側も含めるとすごい人数です。
あまり乗り気でない子や心配そうな親御さんの姿も。
講師陣を代表して、現役の競輪選手である高田敏広先生から
「2時間しかありませんので、全員が乗れるようになるわけではありません。
 保護者の皆さまには、この機会に教え方を知っていただきたいと思います。」

開講式。全般的にテンション低め(笑)。だんだん慣れてきます

保護者の皆さんに取材を進めると、全員が
「広報まつどを見て応募しました。北松戸に競輪場があるのは知ってましたが、初めて中に入りました。」

先生の名は

「近い、近い、近すぎる(笑)」と子供たちに大人気

高田 敏広(たかだ としひろ)先生
1991年・67期生としてデビューの現役選手
2207回出走、優勝9回、1着175回
(教室開催日現在)
ホームバンクは松戸競輪場

この教室は、最初に開催された平成22年から五味先生と講師を担当しています。
ちびっ子たちとの会話では、選手同士と違って、
言いたいことが上手く通じなくて苦労しています。」

ポジション、自転車の状態を冷静に分析

五味 実(ごみ みのる)先生
1983年 競輪52期
2010年 引退まで2379回出走
優勝7回、1着277回
現在は松戸市内で自転車店「トライサイクル」経営

週末は市民レーサーとして活躍中
2016年 日本スポーツマスターズ秋田大会
タイムトライアル 優勝
個人パーシュート 優勝

「トライサイクル」のホームページ

スタイリッシュでオシャレなべっぴんさん

藍野 美穂(あいの みほ)先生
2012年ガールズケイリン第1期生
OLから転身した異色のレーサー
2012年7月松戸競輪場でデビュー
日本競輪選手会東京支部に所属し
松戸競輪場をホームバンクとしていた。

2016年7月の引退後はリポーター、MCとして
競輪イベント出演
女性サイクリストとしても発信中


てっぱん!これがプロの教え方だ

「先ずはサドルにまたがって歩きます。」「ブレーキは、前の人をよく見て!」

「ブレーキは前後同時にかけます。」

ブレーキは前だけ、後ろだけにならないよう左右のレバーを同時に引くよう説明します。
続いて、だんだん一歩を大きくしていきます。

ポイントはサドルにしっかり腰を乗せること

最初はペダルが外してあります

高田先生「ハイ!右~、左~」「慣れてきたら両足で~」

ストライダーの練習にも参考になります

これができるようになったらスロープを使った練習です。

緩いスロープ

両足離すのは前の練習と同じ

「藍野先生を見て」

最初はゆっくり下りてもOK。

両足を地面に付けないで、藍野先生のところまで行けたら合格です。

先生が手を振ることで目標が明確になり、視線も下向きが直り自然と前を見るように

晴大くん「曲がってしまって難しかった」

これに合格すると、ペダルを取り付け後ろを押します。慣れたところで先生は手を放します。

家の練習では補助輪が外れなかったという⑥番車晴大(はると)くん6才も2時間でここまできました。

 一瑛くん 10才

航明くん 5才

毎回7人~8人が完全に乗れるようになります。乗れない子もあと一息のところまでいけるそう。
今回も同様の成功率でした。

2時間の朝ドラ

今度は香里奈(かりな)ちゃん、お母さんの雅(みやび)さんにご協力いただき、乗れる瞬間まで密着取材しました。朝の連続テレビ小説のように泣けます(笑)。

10:00 緊張の開講式

雅さん「7才のうちの子が、一番年上ではないかと心配です。自転車は乗る機会が減って錆び気味です。」

参加者の中でもおとなしく、決して記者を見てくれない⑨番車・香里奈ちゃんにこっそり(笑)迫ります。

10:13 歩く周回練習が始まりました

10:18 最初から遅れ始めます

10:32 休憩になると真っ先に雅さんの元へ

10:35 不安そうな表情

香里奈ちゃん、地面の蹴りが上手くいきません。
大きくなるほど考えすぎて、思い切りできないのでしょうか?

10:39 スロープ練習で緊張もピークに。表情が曇るのがハッキリと分かりました。ファイト!

合格すると会場が変わるためだんだん人数が減っていきます。

10:42 関係者が見守る中繰り返します

10:56 なんとか合格。ペダルを取り付けます

1時間経過、わろてんか!

ゲゲゲ!香里奈ちゃんが泣いているではありませんか!終了まで1時間を切っています。
高田先生「ちょと強く言いすぎちゃったかな?」
雅さん 「大丈夫です。乗れない自分に悔しがっているのです。」

11:09 心配そうな高田先生(右)

11:15 そこは女性同士。藍野先生が励まします

記者も焦ります。声が聞けないばかりか、こちらを向いてくれません。
「わろてんか」と応援したくなります。

11:17 一瞬でもいいから手が離せないか?と願う記者

11:20 余裕の高田先生。理由はこの後

弱点を克服

11:22 しょぼんりするかのように見えた香里奈ちゃん

あと40分、本当に乗れるのか?
記者はあることに気づきました。
10℃を切る寒さですが、香里奈ちゃんも、藍野先生も上着を脱いでいるのです。

乗りたい気持ちと乗れるようにしたい気持ちが一緒なのだと思いました。香里奈ちゃんのやる気は満々に見えました。

その時高田先生が動きました。
「あれを持って来て」

11:25 秘密兵器投入

記者  「これは?特別な練習用スタンドですか?」
高田先生「普段我々が自転車を立てるためのスタンドです。」
先生たちは彼女のぺダリングの弱さに着目していたのです。

11:31 本人には分からないよう、ブレーキやタイヤを押さえてペダルを重く

※スタンドの代用は講師陣が細心の注意を払って行っています。絶対に真似をしないようにお願いします。

11:36 乗れた!!

11:36 決定的瞬間。そっと手を放すと

11:38 目に涙が浮かぶ母の雅さん

教室開始後1時間36分経ったその時です。ついに藍野先生の手が香里奈ちゃんから離れました。

11:40 ずっとサポートしていた競輪場関係者も思わず拍手

終了間際のドラマ!記者もインタビューの時間がありません(笑)。
記者「どこが難しかった?」
香里奈ちゃん「あまり難しいところは無かった。」
ずっと記者を見てくれなかった香里奈ちゃんが、ついにカメラの方を向いてくれました!!

11:43「難しいところは無かった」に先生も爆笑

11:55 記念撮影


教え方に魔法はない!

「ペダル無しの練習が重要だと分かりました。第三者が教えるのが良いかも…親だと反発することも」
と 柚希(ゆずき)ちゃん5才のお母さん

③番車 柚希ちゃん

家族で応援「やっぱり先生方は教え方が上手いですね」

体の軸がずれないように

純情きらり「先生ありがとうございました。」

①番車・有紗(ありさ)ちゃん6才はあともう一息。瞬間的には乗れるので、高田先生がお父さんに家庭での教え方を指導していました。
②番車・笑美花(えみか)ちゃん5才の課題もこぐ力。倒れそうになった時に強くこげるかどうかがポイントとのこと。

視線はお父さんに

お母さんを目標に

高田先生「右回りだけでは子供も大変です。今後は真っ直ぐの長い距離の練習が効果的です。」

成長した子供たち

輝く瞳に自信が現れています。「春よ、来い」暖かくなる頃には上手に乗れるようになるといいね!

競輪初心者にもやさしい松戸競輪場

教室の受付・開講式の会場「ビギナーズプラザ」については、藍野先生が出演し解説した動画がありました。

市民にもドラマがあった!

競輪場を所有する松戸公産では、市民が参加する「松戸市自転車競技連盟(=松戸車連)」にバンクを貸出しています。
その松戸車連から多くの選手が出場している平成29年度第67回千葉県民体育大会自転車競技会で、松戸市は3年ぶりに総合優勝しました!

月2回、土曜日の午後3時から2時間練習

3年振りの優勝。選手と家族。千葉競輪場にて

小野伸一監督(左)と日高善太事務局長

日高事務局長に話を伺いました。
「今回は大会直前に欠場する選手が出て
前年の3位確保も心配されましたが、
ケイリンで1位から3位まで、チームスプリントでも
1位を取りました。
平成30年の会場はここ松戸競輪場!
ぜひ二連覇を目指したいです。
また、高校生や女性にも参加してほしいですね。」

 


ようこそ松戸競輪場へ

最終日、まだドラマは続きます。昨日の香里奈ちゃん、雅さんの親子の姿が。

慌てる記者(笑)。日陰で見えづらくてすみません

香里奈ちゃんがお礼のお手紙を書いてきたのでした。

雅さん「娘がどうしても、もう一度会ってお礼を言いたいと申しまして。」

高田選手「今度は僕の走りを観に来てください。
あっ香里奈ちゃんにはちょっと早いかな(笑)」

 

競輪場の自転車教室が、幼い頃の大事な宝物に!!

講師陣の人柄に触れて小さな競輪ファンの誕生です。
あるお父さんは「今度はバンクを走る先生や実際の競輪も見学したいです。」
競輪場が地域に貢献するとともに、競技への関心が高まるドラマチックな一日になりました。

この記事を書いたライター(市民記者) 千葉 淳

「人生は旅」、学校卒業後、松戸市民から転勤族に。東北勤務時代に家族と「おくの細道」をたどるサイクリングを始めました。平成26年春、転勤で帰郷。これからは”松戸芭蕉”となり旅人の目から見た「松戸」を伝えていきます。