開業10周年を迎えたスポーツバイク専門店
世界的な自転車イベント「ラ・マーモット」での一コマ。
松戸でスポーツ用自転車専門店を開業して10年を迎えた方がいます。
馬場 善久(ばば よしひさ)さん
東京都武蔵野市出身、2006年から松戸市民。
ロードバイクで全日本選手権出場、日本、ニュージーランド縦断。
大学卒業後農林水産省勤務、外務省、経済企画庁(当時)出向。経済協力開発機構(OECD)日本政府代表部勤務のため駐仏。
異色の経歴の自転車店主です。
シクル・マーモットって何?
「シクルはフランス語で自転車のこと。マーモットはアルプスをはじめヨーロッパ山岳地帯に生息している草食系の動物。体長は60cmぐらいの大きなリスのような動物です」
「ブルーのラインはアルプスの清流をイメージしています。もうひとつは江戸川がさらにキレイな流れとなるよう願いを込めています。両端の白いラインは江戸川両岸のCR(サイクリングロード)です。
生地のイエローグリーンはアルプスの草原と江戸川CRの芝生をイメージしています。
シンボルマークの自転車に乗るマーモットは、姪っ子の原画がベースになっています」
駅から遠くない?
「はい。人通りも少なく、日没閉店です(笑)。
しかし今はインターネットで見つけ来店いただける時代。また、多くのお客さまがサイクリングロード経由の来店です。
会員(無料で誰でも入れる特典付)のおよそ半分が松戸市外のお客さまなんです」
取材当日も千葉、浦安、船橋の各市、葛飾区、足立区からのお客さまがいらっしゃいました。
スポーツバイク専門店とは?
重野さん「スポーツバイクに興味を持って移転前のマーモットに寄りました。最初は、なんか職人肌の店に入っちゃったなぁという印象でした。
それでも、初心者に丁寧な説明の店に入ってよかったと思います。かっこいい私、あっ!ロードバイクだ(笑)にあこがれて、妻も娘もここで買いました」
重野さん「娘には24インチのバイクを買ったのですが、乗り方が上達してきたのと背が伸びてきたので、ハンドルを少し遠くしてもらいに来ました。ハンドルとフレームの間にあるステムというパーツを2cm長いものに交換してもらいます。」
ロードバイクは身体の特徴やフォームに合わせたポジション調整が大切なのですね。
市川市在住・植木さん(55)
「トライアスロンもやるのでランニングで来ました。馬場さんはベテラン客の扱いが上手いです。大手自転車店勤務の経験からでしょうか、知識が豊富で腕も確か。部品の取り寄せなど満足のいく対応をしてもらっています」
船橋市在住・玉沢さん(52)
「今日はバイクのオーバーホール(分解整備)の予約に来ました」
店頭のテーブル席で休憩している普通そうな(スミマセン)女性を発見!
「健康のため友達と一緒にロードバイクを買いました。練習会で以前に写真を撮ってもらいましたが、覚えてますか?」
たった4か月前まで初心者だったのに、この日は浦安から自走で来店していました。
マーモットには短期間で上達するシステムがある!?
コロナ下の走行会
ここマーモットでも約4か月休止。再開の方法を模索していました。
内容はブレーキングや左右の重心移動を体感するスラローム。飛沫防止を図るため、説明や会話を少な目にした反復練習が中心でした。詳しくは下記お店のブログをご覧ください。
13名がお店に集合。途中合流の方も合わせて、20名が参加していました。
馬場さん「開催も含め慎重に行っています。再開後も状況に応じて中止する場合があります。
①人数制限
②参加者・連絡先の記録
③受付時の消毒
④集合写真撮影中止
⑤少人数編成の走行
⑥時間差の目的地滞在
など、密を避ける対策を取り実施しています。ルートを決めて単独走をお願いする場合もあります」
この日は奥さまも参加。色違いのBRIDGESTONE製バイク。家族で自転車生活!羨ましいですね。
シクル・マーモットの誕生
馬場さん「高校入学の頃から『ツール・ド・フランス』など自転車ロードレースに憧れていました。
高校に自転車部が無かったので実業団チーム『ラバネロ』に所属し、国民体育大会を目指していました。当時はロードレースの大会は少なく、バンクを走るトラック競技をやっていました。
開業後は松戸競輪場が会場になった千葉国体のお手伝いもしています」
馬場さん「はい。3年間OECD日本政府代表部一等書記官として出向した際、フランス人の同僚に『お前自転車に乗っていたのか?』と誘われたのです。
憧れのツール・ド・フランスの地で買った最新の機材に胸躍りました。
その後、週末はサイクリングにレースにと、学生時代の血が騒ぎ始めました。
帰国後約3年間は「日・タイ」及び「日・豪」経済連携協定に携わるなど再び忙しくなりましたが、親の要介護認定を機に20年務めた農水省を退官。縁あって大手のスポーツバイクショップに入社しました。
好きな道に進み、3年間お世話になりスキルはもちろん、店長として店舗の運営を学ばせてもらいましたが、組織の中ではどうしても自分の理想とする接客が出来ず、思い切って開業を決意しました」
嵐を呼ぶ男!?
※白クマさん「海外赴任当時は周囲から激務とのアドバイスを聞き心配となり、私も仕事を辞めて同行しましたが、OECD本部と代表部混同による勘違いでした…!
転職にはそこに至るまでの経緯から、何とか理解できましたが、開業に関してはもはや諦めです。
否応なくスポンサーにされていたので、税理士の従弟に決算をみてもらいました」
※次にご紹介する千恵子さんのブログのハンドルネームです。
千恵子さん曰く「店主ブログの箸休め」として始めた連載「Le café oursblanc」が360回超え!お客さまに対するお礼を始めとした温かくやさしい気持ちを大切にする日常が綴られています。
「自転車のある生活の提案とサポートです。
販売・修理、安全な乗り方はもちろん、いろいろな楽しみ方を私の40年以上の自転車経験から伝えたいのです。
学生時代から経験してきたトラック、ロード、トライアスロンなどの競技や、日本縦断などツーリングに加え、開業後もシクロクロス、ブルべ等を自ら経験することで、楽しさやノウハウを伝え、サポートしたいです」
楽しみ方いろいろ
恒例化している走行会はこちら!
シクル・マーモットのこれから
コロナの影響で残念ながら10周年記念パーティは中止、移転セールでも自粛の影響で在庫が残って大変でした。そんな時にも、人海戦術で移転を手伝っていただきました」
「幸い移転後はランナーが土手を下りて店を覗きにきてくれるようになり、新しいお客さまも増えました。
これを機にCRをシェアするランナーと、サイクリストが理解し合えるような取り組みをしてみたいと思います。
マーモットでは、学校の部活動のように上下関係のある組織は作らず、新しいお客さまも常連さまも、分け隔てなく接していきたいと思います」
自転車生活をサポート
お客さまに時間をかけ、丁寧に応える馬場さんに代わり、千恵子さんが開店当初からのお客さまをご紹介くださいました。
後藤さん「マーモットは私にとって遊び場所なんです。無理に売ろうとしないのでお店という感じがしません(笑)。
逆に言えば、そうだから安心してここで遊び道具を探すのかも知れません。
最近はコロナで自粛中ですが、近くまで来るとつい寄っちゃう良いお店です。」
自転車に対する、サイクリストに対する情熱にカタチがあるとすれば ―
お客さまの自転車生活をサポートする「シクル・マーモット」がそうではないでしょうか。