皆さんは戸定邸(とじょうてい)に行ったことがありますか。
松戸に住んでいても“名前は知っているけれど、まだ行ったことはない”という人も多いのではないでしょうか。
松戸駅から徒歩10分ほどの“戸定が丘歴史公園”にある戸定邸は、明治時代に徳川昭武が建てた邸宅。
「国の重要文化財」にも指定されています。隣りに広がるのは、洋風の芝生と、芝生のふちを彩る樹木が印象的な旧徳川昭武庭園(戸定邸庭園)。
“和“の雰囲気に包まれた公園内には、あちらこちらに季節の花たちが。梅・シダレザクラ・ツツジ・藤・菊など、1年を通じて主役が次々と入れ替わります。
2015年3月には、戸定邸と庭園を含む公園の西側ほぼ半分が“国の名勝”に指定されました。
歴史ある京都の寺院の庭園、水戸の偕楽園などと同じように、日本を代表する名勝の仲間入りです。
これには「自分のことのように嬉しい」と喜んだ松戸市民も多かったようです。
徳川家の住まいで唯一! 一般公開されている邸宅
そもそも戸定邸は、15代将軍・慶喜の弟で、最後の水戸藩主であった徳川昭武のお屋敷でした。1884年(明治17年)に建設され、木造平屋建一部が2階建になっています。大名の下屋敷の面影を色濃く伝える近代和風建築として、全国的にも貴重なものです。
歴史ある“国の重要文化財”でありながら、戸定邸は一般公開されていて、多くの人が訪れています。
「穏やかでいいところねぇ。30年松戸に住んでたけれど、もっと早く来ていたら良かったわ」
「戸定邸は他の古民家と比べると、部屋が広く、間取りも多い気がします。将軍家のスケールを感じます」
そんな声も聞こえてきました。
隣接する戸定歴史館(写真右)には、徳川昭武(写真左)・慶喜が当時のカメラで撮影した写真や、松戸徳川家の伝来品などが展示されています。年に数回の展示替えや企画展がありますので、ぜひ、訪れてみてください!見学は戸定邸・戸定歴史館のどちらも有料です。
開館時間や料金・アクセスなどの情報は戸定歴史館「施設案内」へ!
庭から戸定邸を見てみよう!
純和風の戸定邸の前には、広々とした芝生が印象的な旧徳川昭武庭園(戸定邸庭園)が広がっています。旧徳川昭武庭園は、普段は芝をきれいに保つために立ち入る事はできないのですが、“戸定の日(毎月10日・20日・30日、休館日に重なるとその翌日)”や一部のイベントの時には戸定邸見学のお客さんも庭へ下りる事ができるのを知っていましたか?
庭園の奥から表座敷を振り返ると、松戸駅前の看板や記念切手シート等にもなった”あの戸定邸”の姿が。(この日は”千葉県マスコットキャラクター「チーバくん」”が、たまたまプロモーション撮影で訪れていました)
江戸川方面に目を向けると、高台ならではの景色がすーっと見通せます。空気のきれいな日には丹沢山地(神奈川県)や富士山が見られます。
ふかふかの芝生、広々とした開放感、戸定が丘の爽やかな風、穏やかな時間が流れます。
訪ねて、食べて、聴いて 戸定流のおもてなし
歴史や建物にあまり詳しくなくても大丈夫。“戸定が丘歴史公園”には色んな楽しみ方があります。
まずは、無料で邸内のガイドをしてくれる“松戸シティガイド”。
邸宅・庭園の解説や徳川昭武にまつわる逸話、四季のみどころ等、戸定邸の魅力を“おもてなしの心”で丁寧に解説してくれるので、初めて訪れる皆さんには特におすすめ!
夏休みなどには特別なガイドツアーを開催することも。
過去には歴史クイズや蚊帳体験などで楽しませてくれました。
ある時は表座敷(庭が見える広間)、ある時は庭園。
プロの演奏家を招いて開催される戸定邸を舞台にしたコンサートは回を重ねるごとに人気を呼んでいます。
戸定邸に隣接するお茶室“松雲亭”では、美味しい食のイベントも。
かつて、徳川慶喜が大阪城で提供したメニューをもとにした“将軍フレンチ”や、徳川昭武が食べていた食材やアイスのレシピをもとにした“徳川昭武の食卓“は人気のイベントです。料理は新松戸にフレンチのお店を構える田島加寿央シェフが作っています。
この他にも、春は“桜の茶店”、秋は”紅葉の茶店”、手作りの甲冑を眺めながら将軍コーヒーを楽しむ“甲冑カフェ“でほっと一休みもいいかもしれません。
松雲亭は、茶会・句会等としての利用なら一般の人でも借りられるそうです。
都内に住んでいる小林惠さんにとっても戸定邸は「お気に入りの場所」。
季節毎に何度も園内を訪れているそうで「手作りの雛人形を戸定邸で展示したり、花の鉢植えが園内を飾ったり、イベントが多いですね」と楽しそうに語ってくれました。
その他にも、戸定邸では季節ごとのイベントがたくさん開催されています。
訪れる時期によって、新しい楽しみ方に出会えるかもしれませんね。
コンサートなどのイベントに参加したり、公園内をゆっくり散策したり、木陰のベンチや公園の奥にある東屋(あずまや)でひと休みしたり、心の向くままカメラを構えたり、写生をしたり、過ごし方は人それぞれです。
「静かで、のんびりできるから」
お子さんを連れたママ友のひとりはそう話します。
訪れる度に新たな魅力と出会えるような、ちょっと特別な癒しスポット“戸定邸”。
まずは一度訪れて、あなた流のほっとする楽しみ方を見つけてみませんか。
戸定邸に隣接する”松雲亭”で開催した”、将軍フレンチ”等で腕を振るう田島加寿央シェフについて
田島シェフがごちそうを作ったラボ開催の「ごちそうとぼうさい」イベント
市民記者・小川照美さんの記事”松戸の人シリーズ・田島さん編”はこちら