松戸まつど
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歴史 2022年7月25日

将軍の馬牧場があった松戸

歴史好き市民ライターの福島です。散歩のついでに、昔の名残りを訪ねてみませんか? 初投稿ですが、よろしくお願いいたします。

江戸時代の松戸には、野田から千葉まで広がる馬牧場「小金牧」がありました。その跡がかすかに残っています。


人気イベントだった野馬捕り

牧では、野馬捕りが年に一度行われました。その絵馬の複製が松戸市立博物館で展示されています。

  • 「幸谷観音野馬捕りの献額」の一部

  • 土手の上で見物する人、弁当を広げている人、屋台も出ています。楽しそうですね。江戸からも見物人が来ました。


    今も残る小金牧

    牧を囲む「野馬除土手」(のまよけどて)が、五香十字路を北に入った所にハッキリと残っています。また、牧に入るための木戸の跡地も残っています。馬が逃げ出すと大騒ぎで、村人総出で馬を戻したそうですよ。

  • 五香駅近くの野馬除土手

  • 五香八丁目にある木戸跡


  • お隣の鎌ケ谷市初富には、馬を追い込んで捕まえる捕込(国史跡)が残っています。土手の上では、見物人が騒いでいたのですね。

  • 下総小金中野牧跡/捕込(とっこめ)


  • 小金牧を管理していたのは、幕府の金ケ作陣屋で、さくら通りの八柱駅近くの跡地に標柱が立っています。

  • 小金牧は有名で、歌川広重「冨士三十六景」シリーズに「下総小金原」を残しています。のどかですね。

  • 国立国会図書館デジタルコレクション


  • 将軍の御鹿狩(おししがり)

    害獣の鹿や猪を狙った「御鹿狩」という大イベントが4回行われています。今は、将軍の御立場(おたつば)の碑が残るのみですが、昭和10年代までは実物があったといいますから、ちょっと残念です。江戸時代の絵でイメージを膨らませましょう。

  • 小金原御狩之記の一部(複製、松戸市立博物館)

  • 五香公園の御立場跡

  • 1849年の御鹿狩では、旗本たちは前日に江戸を出発し、金ケ作で一泊。将軍は当日の午前1時に江戸城を出ました。総勢2万3千人、晴天でした。江戸川には、舟21艘で船橋を作りました。

  • 松戸宿船橋(松戸市立博物館展示パネル)

  • 将軍は、10時頃に到着、御立場に上がり、最後は狩りに加わりました。仕留めたのは、鹿が29頭、猪などが235頭でした。14時頃に狩場を発ち、22時頃に江戸城に戻るという強行軍でした。市立博物館では、展示品と「御鹿狩シアター」で詳しく説明されていて、実感が湧きます。

    御鹿狩は庶民にも大人気で、見物は3万人。12代将軍家慶や一橋慶喜公を見つけると大歓声が上がり、お祭りムードだったそうです。松戸史上最大のイベントかもしれません。昔に思いを馳せながら、散歩してはいかがでしょうか。


    野馬除土手や木戸、御立場跡の場所は、松戸市観光協会の市内ガイドマップ「五香・六実地区」に記載されています。

    参考図書:
     青木更吉〔2001〕『小金牧 野馬土手は泣いている』、崙書房
     松戸市立博物館〔2004〕『改訂版 常設展示図録』

    福島 幸生

    福島 幸生 (ふくしま ゆきお)

    就職し働き始めたのが松戸市内の事業所で、退職後も松戸に住んでいます。便利で自然豊かな良いところですね。私は、現在、観光ガイドや日本語教師として活動中です。市民ライターになったばかりですが、これからは松戸の散歩が楽しくなるような歴史トピックスや松戸に住む外国人の方々について、お伝えしていきたいと思っています。

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