歴史好き市民ライターの福島です。散歩のついでに、昔の名残りを訪ねてみませんか? 初投稿ですが、よろしくお願いいたします。
江戸時代の松戸には、野田から千葉まで広がる馬牧場「小金牧」がありました。その跡がかすかに残っています。
人気イベントだった野馬捕り
牧では、野馬捕りが年に一度行われました。その絵馬の複製が松戸市立博物館で展示されています。
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「幸谷観音野馬捕りの献額」の一部
土手の上で見物する人、弁当を広げている人、屋台も出ています。楽しそうですね。江戸からも見物人が来ました。
今も残る小金牧
牧を囲む「野馬除土手」(のまよけどて)が、五香十字路を北に入った所にハッキリと残っています。また、牧に入るための木戸の跡地も残っています。馬が逃げ出すと大騒ぎで、村人総出で馬を戻したそうですよ。
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五香駅近くの野馬除土手
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五香八丁目にある木戸跡
お隣の鎌ケ谷市初富には、馬を追い込んで捕まえる捕込(国史跡)が残っています。土手の上では、見物人が騒いでいたのですね。
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下総小金中野牧跡/捕込(とっこめ)
小金牧を管理していたのは、幕府の金ケ作陣屋で、さくら通りの八柱駅近くの跡地に標柱が立っています。
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小金牧は有名で、歌川広重が「冨士三十六景」シリーズに「下総小金原」を残しています。のどかですね。
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国立国会図書館デジタルコレクション
将軍の御鹿狩(おししがり)
害獣の鹿や猪を狙った「御鹿狩」という大イベントが4回行われています。今は、将軍の御立場(おたつば)の碑が残るのみですが、昭和10年代までは実物があったといいますから、ちょっと残念です。江戸時代の絵でイメージを膨らませましょう。
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小金原御狩之記の一部(複製、松戸市立博物館)
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五香公園の御立場跡
1849年の御鹿狩では、旗本たちは前日に江戸を出発し、金ケ作で一泊。将軍は当日の午前1時に江戸城を出ました。総勢2万3千人、晴天でした。江戸川には、舟21艘で船橋を作りました。
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松戸宿船橋(松戸市立博物館展示パネル)
将軍は、10時頃に到着、御立場に上がり、最後は狩りに加わりました。仕留めたのは、鹿が29頭、猪などが235頭でした。14時頃に狩場を発ち、22時頃に江戸城に戻るという強行軍でした。市立博物館では、展示品と「御鹿狩シアター」で詳しく説明されていて、実感が湧きます。
御鹿狩は庶民にも大人気で、見物は3万人。12代将軍家慶や一橋慶喜公を見つけると大歓声が上がり、お祭りムードだったそうです。松戸史上最大のイベントかもしれません。昔に思いを馳せながら、散歩してはいかがでしょうか。
野馬除土手や木戸、御立場跡の場所は、松戸市観光協会の市内ガイドマップ「五香・六実地区」に記載されています。
参考図書:
青木更吉〔2001〕『小金牧 野馬土手は泣いている』、崙書房
松戸市立博物館〔2004〕『改訂版 常設展示図録』