開店40周年「りべるて2」
ピンク電話が、ジリ~ン~、ジリ~ン
「もしもし、りべるて です。」
全国展開のコーヒーショップが当たり前となった現在、数少なくなった「昔懐かしい」そんな感じのお店です。
自家焙煎のコーヒーはホットでもアイスでも。
自家製カレー、玉子トースト、ナポリタンは飽きのこない味!
♪ 静かな喫茶店
来店するなりカウンターへ一直線、ママさんの藤岡美和さんとおしゃべりを始める女性。
コーヒーとタバコを楽しみ、居眠りする男性。
母と娘が待ち合わせて近況報告。
昼間はジャズの調べとともに常連客が憩いのひと時をすごす空間。
カウンターでマスターの藤岡賢祐さんがライブのスケジュール表を手作りしている以外は…
土曜の夜は ライブハウスに
ジャズ初心者である記者にマスターが紹介してくれた方は、新松戸にお住いの元商社マン。
アメリカやイギリスにも駐在経験があるそうです。
ここからは斎藤健(さいとうけん)さんの
「還暦2歳 バースデイライブ」
打ち合わせからライブ終了までを密着取材(笑)しました。
斎藤さん(写真中央)は、3ヵ月に1回、都内や近県で自らリーダーを務めるライブを行っています。
-(斎藤)「1曲目だからソロは長めで」
-(記者)「(打ち合わせ段階から楽しい!)」
ギターの中川幸良(なかがわゆきなが)さん(写真左)、アルトサックスの五十嵐康美(いがらしやすみ)さん(写真右)
ライブ当日のマスターは大忙し。
出演者に駐車場を知らせ、椅子・テーブルを運び出し、ライティング、音響…。
「記者さん悪いね~」
取材は全て動きながらです。
♪ On The Sunny Side Of The Street
-(斎藤)「アメリカってのはすごい国ですね。1929年世界恐慌の翌年にこんな曲で皆を勇気づけるのですから」
一曲一曲丁寧に説明して進行します。
この日は地元町内会やフラダンスサークルのお仲間も集まり超満員!!
「ナポリタン、カレーライス…ここはどれも美味しいんですよ。コーヒーなんて自家焙煎ですから」
アットホームな雰囲気で盛り上がります。
ライブが始まると厨房の忙しさもピークに。
ママさんは調理をしながら演奏者をすり抜けるように行ったり来たり。
「チーズとタバスコちょうだ~い」
「豆を挽くから2分待って!」
お二人の動きが激しすぎて、なかなか写真が撮れません。
斎藤健さんに聞くジャズ
-(斎藤)「ジャズって何か敷居の高い小難しい音楽だと思っていらっしゃる方々にも気軽に楽しんでほしいんです。
もともとアメリカのポピュラー音楽だったと言っても良い音楽ですから、演奏者・お客さまみんなが笑顔で楽しめるライブをやりたいと思っています。
そんなジャズが私は好きなんです」
♪ Walkin’ my baby back home
動画提供:斎藤健さん
「お誕生日おめでとうございま~す」最後に花束が贈られ終了。
ジャズライブを初めて聴くお客さまとともに楽しんだアッという間の2時間、マスターから斎藤さんを紹介していただいた理由が分かりました。
「りべるてセッション」とは?
3ヵ月に1回開催される企画です。
この日は第38回、入場料1000円。
プログラムには、「佐藤まさみ(ピアノ)、伊藤暢幸(ベース)、トニー工藤(ドラム)。ギターアンプ、ウッドベース、ドラム用意します。ヴォーカルの方は最低2枚譜面をお持ちください」とあります。
普段のライブとは違うのでしょうか?
打ち合わせ、リハーサルなし
ベースの伊藤暢幸(いとうのぶゆき)さん(写真左)は会社員をやりながら40年以上の演奏歴。学生時代からりべるてで演奏していたそうです。ドラマーのトニー工藤さん(写真右)とはもう30年以上の付き合いがあり、記者が聞いていても打ち合せをしているようには見えません。コーヒーを飲みながら談笑が続きます。
ノートが重要?
「ヴォーカルの方ですか?」
お客様が訪れるたびにピアノの佐藤まさみさんが名前と持参した楽器をチェックしています。
♪How About You ?
演奏家3名にお客さま数名。
-(記者)「(気まずい…)」
しかし、演奏が始まると、そんなことはどうでも良くなってきました。
軽快な演奏に引き込まれます。
写真左/伊藤暢幸さん、右/トニー工藤さん
ピアニストが司会も?
演奏が終わり、佐藤さんが先ほどのノートを基にお客様を指名します。
-(佐藤)「ヴォーカルの山本さん、今日は何を?」
佐藤さんの役割をセッションリーダーと呼ぶそうです。
お客さまが楽譜を配って、即!演奏開始。
そうです!カラオケならぬ生演奏でお客さまが歌ったり、持参した楽器で参加することができるのです!
♪ 恋するフォーチュンクッキー
8時を過ぎること頃には満員に。
柏市からお越しになったピアノの木村喜明(きむらよしあき)さん(写真手前)。
執筆活動や大学院の講師を務めているためか?取材にとても好意的で解説が明快でした。
-(記者)「ぶっつけ本番で、よく演奏ができますね 」
-(木村)「例えば皆さんもカラオケに行って、友達とAKB48の『恋するフォーチュンクッキー』なら、なんとか合わせることができるでしょう?
有名な曲はそんな感じなんですよ。
ヴォーカルの人はもちろん、楽器の人もカラオケに行くようなもの。 いや、生演奏だけど(笑)」
♪ Fly Me To The Moon
今回初めてセッションでウッドベースを弾いたという太田祐史(おおたゆうじ)さん(写真左)は馬橋在住のビデオカメラマン。撮影と編集が本職です。
太田さんはテクノポップのバント「YMQ」で演奏活動もしています。
-(太田)「今回参加したセッションは仲間とスケジュールを合わせ練習・公演を目指すバンド活動と全く違います。個人で練習し、プロのセッティングでぶっつけ本番なんです。緊張しますし、度胸試しですね」
-(記者)「(ジャズ道場…?)」
トニー工藤さんと「りべるて」
-(工藤さん)「りべるてのライブは運転してくれる人を頼んでナポリタンをつまみにマスターとおしゃべりしながら一杯やるのが楽しみなんだよ」
そこには、演奏を離れほっとできるトニーさん専用のコーナーがありました。
トニー工藤さんの出演する「リバストンジャズナイト」facebook
佐藤まさみさんに聞く「りべるて」の魅力
-(佐藤)「りべるてのドアを開けると珈琲の良い香りとマスター夫妻の穏やかな笑顔に出迎えられてほっとします。
私が初めてりべるてに出演させていただいたのは8年ほど前だったと思います。ドラマーの工藤さんに誘っていただいたのがきっかけでした。
ライブには地元のジャズ好きな常連さんもいらっしゃいますので、アットホームな中にも緊張感があります。
私もマスターご夫妻や地元の常連さん達に暖かく見守っていただきました。
りべるては多くの素晴らしいミュージシャンを輩出してきた歴史のあるお店です。
一人でも気軽に入れるお店ですのでぜひ寛ぎにいらしてください」
佐藤さんからお知らせ!
「ピアノトリオのライブのお知らせです。2015年10月16日(金)20時より
松戸 コルコバードで開催催しますので、ぜひ聴きにいらしてください♪」
「ライブの管理人」つちやかずお さん
写真提供:りべるて2ホームページ
取材を通じて、ライブのプログラム編成とホームページの管理はテナーサックス奏者のつちやさん(写真中央)が一手に引き受けていることを知りました。
つちやさんは20代の若い頃、プロのオーケストラに所属していましたが、オイルショックの頃急に仕事がなくなり一般の社会人に。
トニー工藤さんの紹介で当時新松戸にあった「りべるて3」に出入りするようになったとのことです。
-(記者)「ずばり!『りべるて』とは?」
ミュージシャンを育てる店
-(つちや)「それまでの私は流行歌手のツアーとダンス伴奏がほとんどでした。
りべるてにはそのような世界とはまた違った、純粋にジャズを目指している若きミュージシャンの修行の場でした。
日本を代表するピアニスト福田重男、くりやまこと、谷川賢作、世界的に活躍しているアルトサックス奏者早坂紗知、藤陵雅裕、今では有名な方が修業時代、ほとんど客のいない店のライブでも マスター・ママさんに見守られて大きくなっていきました」
「店と常連のファンは『若い有能なミュージシャンを育てるのが私達だ!』という気概を持っています。」
♪ L-O-V-E
-(藤岡)「自分でスピーカーを取付けたり、防音工事をしたり…。 つちやさん始め演奏者の皆さん、そして地域のお客さまに支えられてここまでやってきました。(8月の段階で)年内のライブはすべて決まっています。ライブは単発のイベントではだめなんです。毎週続けることが重要なんです」
最後になって 趣味がマラソンというマスターらしい言葉がうかがえました。
そしてその横で微笑む美和さん。
お二人に対し、昼・夜両方の常連さんから「体に気を付けて、皆から愛されるりべるてをずっと続けてください!」というリクエストが届いているように感じられました。
♪ 流鉄で行こう
「りべるて2」
住所/千葉県松戸市大金平3-177
電話/047-344-9913
交通/流鉄流山線「小金城趾」から徒歩3分