成田空港まで電車で30分という利便性から、松戸市の“空の玄関口”でもある「東松戸」。
近年開発が進み、松戸市では29年ぶりとなる新しい小学校が建設されるなど、今後も注目の新しい街です。
さて今回は、そんな「世界に近い街・東松戸」から、外国人の方と一緒にタイムトラベルをしてみたいと思います。
今回一緒にまわって頂くのは、ドイツ出身のドミニクさん(31)。12年前に日本に来日し、現在は松戸市内に住んでいます。
それではさっそくタイムトラベルに出かけてみることにします!
八柱村の面影
やって来たのは江戸・・・ではなく紙敷地区にある旧齋藤邸。この付近はかつては「八柱村」と呼ばれる農村地帯であり、今でも昔ながらの建物や風景が残っているのだ。
旧齋藤邸は1998年に市民の方から市に寄贈された古民家で、茅葺き屋根の母屋は明治生まれの推定築114年。
約1,672坪あるという敷地内には梅の木などが植えてあり、四季折々の花が楽しめる。
今回案内してくれた管理人の田村さん。
市が管理している事もあり、様々な市民活動をはじめ、時にはテレビ撮影など幅広く使われているという。
茅葺き屋根は夏は涼しく冬は暖かい。そんな茅葺き家屋も、現在松戸市内では数えるほどしか残っていないという。旧齋藤邸はそんな貴重な面影を今に伝える。
「100年以上前のデザインはとても素晴らしく、今でも負けない!」とドミニクさん。故郷のドイツでも古い建物を大切に使っている場所がたくさんあるという。
さて、今度は母屋の裏側へ。
おもて側とは対照的な竹林が広がっており、“日本っぽい”場所にドミニクさんも興味津々!
ちょうど春という事で、あちこちにはタケノコが顔を出していた。
そしてこの竹林を活用して「竹紙作り」を行っているというので、さっそく体験してみることに。
まずは紙の原材料となる竹を腐らせる様子を見学。
柔らかくなった竹をミキサーで細かくしたら今度は「紙すき」。ドミニクさんもLet’s challenge!
乾燥すればオリジナル竹紙の完成!
葉っぱのアクセントが何とも可愛いらしい竹紙。
季節に応じた草や葉を入れて、世界に一つだけのものを作ることが出来るのも竹紙作りの魅力。
旧齋藤邸の公開に併せて竹紙作り体験講座も行っているという。
旧・八柱村の面影を残す古民家はいかがでしたか?
現在は松戸市の主催事業など、生涯学習の場として活用しているという。
【旧齋藤邸】
問い合わせ先:松戸市 生涯学習部 社会教育課
電話:047-366-7462
※一般開放は行っておりません。
それでは今度は時代を少し進んで「昭和」にタイムスリップしてみることにしましょう!
ワクワクとドキドキの時代
次にやって来たのは私設博物館「昭和の杜」。
入る前から好奇心をそそられワクワクしてしまう。
さっそく流鉄2000系「なの花号」がお出迎え。下から眺める電車は迫力満点!
元々は昭和41年製造の西武鉄道701系電車で、昔を懐かしむ西武沿線のファンも多く訪れるという。
こちらが理事長の吉岡さん。
展示物の大半は吉岡さんのコレクションで集められていたものという。展示品の中には「日本でここだけにしか現存しない」というモノも多いのだとか。
真上を見上げると飛行機が飛んで来た!?
もちろん、こちらも実際に使われていた「本物」だ。
屋外のガレージには懐かしいクルマたちがズラリ!
このほかにも天皇陛下が皇太子時代にお乗りになった馬車や、南極基地で実際に使用されていた車両も展示している。
「ブルンブルンブルン!」
今でも元気にエンジンがかかるというから驚きだ。こちらのオート三輪は映画「ALWAYS 続三丁目の夕日」の撮影にも使用したという(吉岡さんもエキストラで出演)。
こちらは屋内展示。
可愛らしい赤電話。知っている世代には懐かしく、知らない世代からは新鮮に映るに違いない。
昔懐かしい「漫画本」や「ブリキ」のおもちゃたちが所狭しと並べられている。
吉岡さんによると、当時を知る方々がここを訪れると、みんな自然に“元気”が湧いてくるのだという。
目の前に現れたのは全長5メートルの「空母ホーネット」の模型。
日本最大級という大きさに、ドミニクさんもビックリ!!!
昭和といって忘れてはいけないのが戦争。。。
こちらは松戸市内に投下された焼夷弾で、一部が焼けたケヤキの木。平和の大切さを今に伝えている。
さて、この独特なタッチの絵。週刊誌やプラモデルの箱などで見た事がある人も多いはずでは?
そう、昭和を代表するイラストレーターである故・小松崎茂氏の作品である。
小松崎氏の作品はSFから人物画、戦艦や飛行機などの乗り物まで様々。思わず世界観に浸ってしまう。
これらは元々は新松戸にあった「昭和ロマン館」に展示されていたものを移設したという。
こちらは今でも現役の蓄音機。何十年もの時を超え、レコードからの音が部屋に響く。
記事ではその音をお伝えできないだけに、是非実際に足を運んで“生の音”を聞いて頂きたい。
「おばちゃ〜ん!あんず飴ひとつ〜!」と今にも子ども達の声が聞こえてきそうな昔懐かしい駄菓子店のセット。
本当に昭和の時代に戻ったかのような気持ちになってしまう。
昭和を肌で体験できるとあり、今では県内各地から校外学習で訪れる学校も多いという。
「使い捨ての世の中だからこそ、子どもたちには昔のものを見てモノの大切さを学んで欲しい」と吉岡さん。
園内をじっくり見ると2〜3時間はかかるため、外はすっかり夕方。昭和へのタイムスリップ旅行もそろそろ終了。
2010年11月の開園以来、リピーターも増えているといい、今後は展示物の入れ替えも検討しているそうだ。
「昔のものを本だけで見るとわからないが、本物を見ることができ勉強になった」とドミニクさん。
「昔のものを知らないと、新しいものも作れない」という言葉のとおり、現代日本の文化の原点に触れる旅になったのではないだろうか。
【昭和の杜博物館】
開館日:金・土・日・祝日
開館時間:10時から16時
入場料:大人300円(高校生以下無料)
電話:047-369-7870
アクセス:東松戸駅徒歩15分・駐車場完備
新しい街には懐かしさがあった!
松戸市内でも新しい街「東松戸」。そこには古き良き松戸、そして懐かしきニッポンがありました。
成田・羽田の両空港、そして浅草やスカイツリー、ベイエリアなどの観光地へのアクセスの良さから、2020年の東京オリンピックに向けてこれから多くの外国人の方にも松戸を訪れてもらいたいと思います。
皆さんも新しさの中に懐かしさを発見してみてはいかがでしょうか?