素敵な発見!2017年5月1日

矢切の渡しの先に何がある?~矢切サイクリングコース作りに密着取材~

全国区「矢切の渡し」

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後方(奥)が矢切

県外の人に松戸市を説明する際、
“映画「男はつらいよ」の寅さんの故郷・柴又と「矢切の渡し」で結ばれている”と説明すると
「あ~っ細川たかしの」とすぐに理解してもらえます。

有名な葛飾柴又と矢切の渡し…

知らぬ土地だよ?

しかし、「矢切はどんなとこ?」となると…。
演歌「矢切の渡し」でも矢切は知らぬ土地へ行く通過点なのか?触れられていません。

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サイクリングロードに立つ標識。矢切の渡しの先に何がある?

北総線・矢切駅は都内に直結、交通の便の良い所でした。

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矢切駅前ロータリー、ホームは地下

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発車メロディーが「矢切の渡し」

「矢切駅、降りたことないよ!」
そして、「常磐線からは河川敷のゴルフ場しか見えないよ!」
(ゴルフ場の先に渡しがあり、ゴルフ場の土手を越えると矢切地区です。)
という皆さまへ…

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都内へ向かう常磐線の列車が江戸川を渡る直前、左側から矢切地区が始まる(写真手前側)/写真協力:S.W.

矢切地区大特集

今回は、日頃、電車では通過してしまう矢切地区を
自称「矢切の私」が自転車に乗って取材しました。

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市川市側から撮影。左に江戸川、矢切の渡し、右側に矢切


サイクリスト・中村浩二さんの提案

「野菊の蔵・やきり観光案内所にレンタサイクルがあるのですが、
矢切地区を起点に松戸の観光スポットをPRしたらどうでしょうか?」

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中村浩二さん 名古屋市出身。1992 年から松戸市在住

中村浩二(なかむらこうじ)さん
松戸で開催されている「江戸川アースデイ自転車ライド」の取材で知り合ったサイクリスト。

「やきり観光案内所に置いてあるレンタサイクルの活用推進」

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無料のレンタサイクル

これまでも自転車で梨狩りや矢切の渡し乗船など、松戸発のサイクルイベントを数多く企画してきた中村さん。

「矢切の渡しで松戸に訪れた観光客や江戸川サイクリングロードを利用するサイクリストに矢切地区、松戸をPRしましょう!」

中村さんと記者の半年にわたる取材が始まりました。


まず中村さんが企画書を作って向かったのは「野菊の蔵・やきり観光案内所」
事務局の深山能一(みやまよしかず)さん

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野菊の蔵・やきり観光案内所 深山能一さん

深山さん
「サイクリングを通じた矢切の魅力発信は歓迎です。

ここを作ったのも、『矢切の渡しに乗って来たけど何もないじゃないか』という声が聞かれたのがきっかけです。

松戸市は柴又で開催されている「寅さんサミット」に参加しています。

矢切地区に新しい公園が整備されることが検討・計画されています。これからも、対岸の柴又と交流を図り、矢切を発信していきたいです。」

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旧水戸街道(流山街道)沿いにある

次に向かった先は、松戸駅西口 観光案内所
「松戸探検隊ひみつ堂」

石上瑠美子(いしがみるみこ)さんに矢切地区の観光事情を伺います。

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 石上瑠美子さん

石上さん
「周辺には見どころがありますよ。

矢切神社のコテエは押さえた方がいいわね。
それと矢切はや「ぎ」りじゃなくて、や「き」りですからね。」


矢切の読みが、やきりとは知ってましたが、
コテエって一体なんだろう…?


渡しに自転車は持ちこめる?

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イベントで渡し船に乗り込む中村さん(写真左)

中村さん
「一般の観光客が優先ですが、

空いている時間帯なら乗せてもらえます。
本格的なサイクリストが使用しているビィンディングペダル用のシューズは金具が船底を傷付けることから乗船を断られることがあります。」

「野菊の蔵・やきり観光案内所」に集合!

矢切を巡る旅の起点はここ!

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「野菊の蔵・やきり観光案内所」

深山さん
「観光客の皆さんに休憩してもらい、
観光案内し、矢切ネギなど土産物を販売しています。
公的な施設ではなく、ボランティアによる運営です。
営業時間は
毎週土日10時~16時営業(1・2月と8月を除く)
定期的に『やきり産直まつり』開催しています。」

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「野菊の蔵・やきり観光案内所」へ松戸駅西口からバスで来て、レンタサイクル利用もお勧め

ボランティアスタッフの皆さんはサイクリストにとっても親切です。
なぜなら…「私たちは自転車でここに通っているのよ」

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ボランティアスタッフの皆さんにもヒアリング


「歴史巡り」と「学びのコース」のモデルコース完成!

取材開始から3か月、
矢切地区を中心にママチャリでも回れるモデルコースが完成しました。

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都民5名参加

中村さんの呼びかけでコースの試走が始まりました。
3回に分け、松戸市民はもちろんのこと、都内、茨城県から延べ30人が参加してくれました。

茨城からの参加者には記事「松戸・取手交流サイクリング」のメンバーも!

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都民1名参加

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茨城県民4名、都民2名参加

矢切は伊藤左千夫の純愛小説「野菊の墓」の舞台
松田聖子主演で映画化もされました。

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気分は小説の主人公・民子と政夫

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英訳本も備えています

では、歴史巡りコースの一部をご案内しましょう。
野菊の墓文学碑
西蓮寺の一角にある小説の碑。高台にあって隣の野菊苑公園から江戸川方面が一望できます。

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ここで政夫は民子のくるのを待った

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小説の一節「村外れの坂の降り口」

「そもそも矢切って矢が切れたのかしら?」
中村さん「庚申塚にある碑文によると地形由来の『谷切れ』、北条氏と里見氏の合戦の地であったことから争いを嫌う、「矢が切れる」から『矢切り』、『矢切れ』、『矢喰い』…入会(いりあい)の地形で萱(かや)や葭(よし)が生えていて、萱刈りのことを「ヤカリ」と言い、その言葉が変化して「ヤキレ」「ヤキリ」…などなど、諸説あるのですよ」
それで、や「き」り
茨城から参加した永長さん「茨城もいばら『ぎ』じなくていばら『き』ですよ!」

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地名の由来を説明する中村さん

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庚申塚

矢切神社

宝永元年(1704年)の大洪水により村民が台地へ移住し建立しました。
敷地内には狛犬とお稲荷さんが両方あります。
その理由は皆さんもぜひ直接行って確認してください。

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神社で狛犬ポーズ 初対面同士が多いにもかかわらず、盛り上がっています

社殿上部にはコテを使って漆喰(しっくい)で塗り上げ、浮き彫りにした鏝絵(こてえ)がありました。
茨城から参加のアーティスト・傍嶋賢(そばじまけん)さんは東京藝術大学大学院壁画第一研究室出身ということもあり
「大抵のことでは驚きませんよ(笑)」と言いつつも驚きのポーズを取ってくれました。

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「これはーっ!」やらせのポーズです(笑)

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龍を描いた「鏝(こて)絵」。大正時代の作らしい

栗山配水塔

千葉県営水道の高架水槽で、ドーム状の屋根が印象的です。昭和12年竣工、高さ 31.9m、内径15mの水槽に水を貯め、各家庭に水を送っているそうです。
平成18年、土木学会選奨土木遺産に認定されています。
中村さん「桜まつりの時に1日だけ施設が公開されます、塔にのぼることができますよ!」

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住宅地に出現するドームにビックリ

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栗山桜まつり会場、年1回だけのぼることができる

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桜まつりの公開日、ヘルメット着用でのぼります

柳原水閘(やなぎはらすいこう)

明治37年に造られたレンガ造り4連アーチの水門。
平成19年に経済産業省「近代化産業遺産」認定されています。
ぜひ直接訪れてアーチ部分の組み合わせに注目してください。
中村さん「現在の施設との比較も興味深いですよ。」

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「これですよー」

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明治時代のレンガ積み工法

学びのコースからも一部紹介します。

千葉大学園芸学部

ここは外せません、全国の国立大学で園芸学部があるのは千葉大学だけだそうです。
庭園の見学には許可が必要です。申込書を当日大学総務係あて提出します(土日・祝日は事前に郵送かFAX)。
詳しくは大学ホームページに載っています。

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国道6号線に面した入口

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この先にフランス式庭園が!

市民記者の清水さんが取材した記事があります。まずはこちらを!

戸定邸

戸定邸庭園別トリミング2

※戸定邸庭園は平成29年夏頃まで復元工事中

第15代将軍・徳川慶喜の弟、徳川昭武の邸宅。
昭武は水戸藩最後の藩主です。

戸定邸は国指定重要文化財、
戸定邸庭園(旧徳川昭武庭園)は国の名勝に指定されています。

その施設とともに、サイクリストは
入口前の売店でひと休みもイイですね。
暑い夏に木陰でいただく冷たい「将軍珈琲」
ホッと一息が記者のお勧めです。

※戸定売店は土日祝のみ営業(冬季、夏季に休みあり)。

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後方に戸定邸への入口

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木陰でアイスコーヒーをどうぞ

千葉県西部防災センター

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インストラクターがすごーく親切/写真協力:よりー

無料の防災体験学習施設。「地震」、「風水害」、「火災」についてインストラクターがツアー形式で案内してくれます。

子供から大人まで楽しんで学習できます。
外観からは想像できない、驚きの充実度です。


美味しい矢切あります

矢切地区で生産されるねぎは「矢切ねぎ」として全国的に知られています。
平成19年には特許庁に出願し地域団体商標を取得しているそうです。

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中村さんが「まつど農産物直売組合」川村博文さんのねぎ畑を案内します。

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川村博文さん(左)

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採り方を指導

川村さん
「美味しさの秘密?江戸川が運んだ矢切地区の土質かな。冬ねぎは収穫期の寒さに凍らないように糖分を多く含んでいて甘いんだよ。昔は農作業中にたき火で暖を取っていたから、そこでねぎを焼いて、おやつ代わりに食べたのだと思いますよ。」

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どうやって持って帰ろうか…

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外側を剥いて、とろーり甘い、アチチ、火傷注意

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ねぎを背負って身を寄せながら

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明日へこぎだす走りです

和菓子所「八矢庵」

矢切にちなんだお菓子がたくさん!
さらに、ひみつ堂の石上さんのヒントと、矢切地区の皆さんのご協力のもと、アイデアマンの店主が矢切ねぎを使ったコロッケを開発。各地のイベントで大人気です(店頭では事前の予約が必要です)。
松戸市のふるさと納税返礼品にも採用されています。

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ねぎの甘みが!ソースなしがおススメ/写真協力:Mika

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「和菓子屋でねぎコロッケは意外」

美味しいラボ発見

中村さん
「前から店名が気になっていたんですよ、行ってみましょうか」
住宅地に突然現れる梅園とハーブガーデン。
そして、お洒落なカフェ。ハーブティーに個性的なケーキが美味しーい!
既に名刺が切れ、尻込みする記者を横目に中村さんアポなし突撃(笑)取材。
大川原加奈さん
「ここ、市川市ですがよろしいですか?」 

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ホールケーキも分けて食べました

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梅園、ハーブガーデン内に立地

なんと、松戸市境界線から50メートルの市川市(笑)…、でも松戸市民に紹介したい、そんな素敵なお店でした。

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梅の見頃になると向かいの梅園を開放しています


矢切に行こう!

東京から参加の黒田さん、あまりの距離の短さに
「近くをぐるぐる回ってませんか(笑)!でもこの充実感はなぜかしら?」
同じく、東京から参加した元松戸市民の松田さん
「こんなにいろいろあるとは!知りませんでした。」
茨城から参加した永長さん
「距離より思い出ですね!」

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「野菊の墓」にちなんで開催されている、矢切の里文学祭・初恋短歌大会の入賞者の歌碑。これまでに11回開催

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松戸を語る中村さん

自転車の旅を発信し続けている中村さん。
「『歴史巡りのコース』は5km、長い方の『学びのコース』でも8km。ママチャリでも楽に走ることができます。

よく、イベントを通じて地域貢献してますね!と言われるのですが、きっかけは、松戸に居を構え、地域とのつながりを意識したからなんですよ。
移り住んだ松戸は知らない事ばかり。色々な方に教えていただいた松戸の魅力を伝え広めていく事で恩返ししているのだと思います。」

企画力、交渉力、情報発信力…中村さんの活動に矢が切れることはありません。
皆さんも松戸の旅を矢切から始めてみませんか?

この記事を書いたライター(市民記者) 千葉 淳

「人生は旅」、学校卒業後、松戸市民から転勤族に。東北勤務時代に家族と「おくの細道」をたどるサイクリングを始めました。平成26年春、転勤で帰郷。これからは”松戸芭蕉”となり旅人の目から見た「松戸」を伝えていきます。