つながってる2016年11月14日

父と娘が師弟関係?~松戸競輪場に親子選手誕生!!~

仲良し父娘?

DSC08529

競輪業界認定の自転車フレームも作っているショップ

松戸市の新松戸南二丁目にある自転車店「サイクルランド」

財布を取り出す父親とその娘

記者(54)もそうですが…、男親なら誰でも娘と喜んで買い物に行くことでしょう。

しかし、ここは競輪業界では知られたショップ

そして体育会系の体格…

DSC08539

父(54)、娘(21)

松戸競輪場に誕生した親子選手

今回は松戸競輪場をホームバンクとする競輪選手・鈴木康雄(すずきやすお)さん、今年7月にデビューしたばかりの彩夏(あやか)さんを取材しました。
公益財団法人JKA(以下JKA)によると競輪選手約2,300人の中で全国で3組しかいない父娘選手です。

DSC09808

松戸競輪場を練習拠点とする2人。日本競輪選手会東京支部所属

取材に暗雲…。親子仲大丈夫?

DSC09897

彩夏さんが肩をかばう理由は後半に

取材当日、 彩夏さんの姿がありません。

「すみません、娘なんですけど、もたもたしているので置いてきちゃいました。
師弟関係にはあるんですが、娘にとっては親なんだな~
口答えもするし」

彩夏さんは時間通り現れました念のため(笑)
親子喧嘩勃発か?
安心してください(笑)。事前に内偵していました。


彩夏が大好き!

14909-H28

松戸市自転車競技連盟出身(写真協力:JKA)

ガールズケイリンの先輩・浦部郁里(うらべかおり)選手

「サイクルランド」に出入りしていたこともあり父娘を知る間柄。また、競輪業界でも珍しい親子同時遠征の佐世保競輪場開催に出場、彩夏さんともレースしていました。

「鈴木父娘ですか?
もう顔がそっくりですね(笑)。
お父さんが彩夏さん大好きなのがすごくよくわかるなって感じですね(^^)」


父 54才の現役選手

「康雄さんおはようございまーす」練習中若手選手から声がかかります。
昭和59年にデビュー。通算2810回出走。243勝、優勝4回
JKAによると鈴木選手は東京支部で2番目の年長
全国に約2300人いる選手の中で18番目の年長選手だそうです。

DSC09937

「自分で自転車部を作りインターハイを目指した。」

東京都出身
小学校時代は野球。中学校ではバスケットボール、剣道。高校でサッカー、陸上を経験したスボーツ少年

「14才の時、父親が競技用自転車を買ってくれて毎日乗っていました。水元公園近くの高校まで自転車通学。スポーツ用自転車って鍵がないでしょう、盗まれるのが心配で教室の中に置かせてもらってました(笑)。」

 

アパートに競輪選手がいたのが縁で、当時、綾瀬で営業していた「サイクルランド」に通っていたそうです。

IMG_1010

「RAP」はサイクルランド製フレームのブランド

今は新松戸南二丁目で営業している「サイクルランド」

店に飾られている写真に、若き日の康雄さんの姿があります(写真一番右)。

サイクルランドが主宰するチーム「NOROSSA」は
当時、スーパーサイクルスピード大会に挑戦していました。

康雄さんはこの写真の翌年の昭和56年、パイロットを務め全国第2位に輝き、店主と共にテレビ出演したそうです。

 


娘 今年デビューの21才

DSC09925

バンクに隣接する選手控室

「競輪選手になれたときは本当に嬉しかったです。小さい頃、練習する父に付いてきてこの部屋にいたことを覚えています。
選手になった今でも、一緒に買い物に行ったり、服を選んであげたり仲は悪くないと思いますよ(笑)

ガールズケイリンが始まった平成24年3月。松戸競輪場で開催された日本競輪学校の卒業レースを観てカッコイイと思いました。」

IMG_20161103_0001_NEW

彩夏さんは子供の頃から運動好き。ドッジボール、バスケット、陸上、柔道…市立松戸高校時代はサッカーをやっていたそうです。
進路で悩んでいた高校三年の時
康雄さんから競輪選手も選択肢のひとつとして進められたとのこと。

「スポーツで生計を立てたい。
競輪でダッシュできる脚力が自分にはあるのではと考えました。」


松戸競輪場に初登場

平成28年9月、競輪学校を卒業後初めての地元開催に彩夏さんが登場しました。
ベテランと思われる観客は親子選手の娘の登場を良く知っているようでした。
「あやか!がんばれ!」と、ひときわ大きな歓声。
若い女性が声援を送っていたのが印象的でした。

DSC08682

黒いヘルメットの2番車が彩夏さん。後方にバンクと呼ばれるだけあって角度のあるコーナーが見えます。

IMG_8800

この直後彩夏さんを含む右側の5選手が集団で転倒

-どんな気持ちで松戸開催を迎えましたか?

彩夏「デビュー前の練習で転倒、腕を怪我をしていてまだ、ハンドルを強く引けないでいました。」

康雄「競輪選手は規則で車券を買えませんので、誤解を招かないようにスタンドから直接観戦することはありません。そればかりか、不正防止の観点から開催中は娘と言えども一切連絡を取れません。
テレビで師匠として冷静に観ていました。」

最終周のスピードが乗った第一コーナー、記者の目の前で5人の選手が落車。
立ち上がってヨロヨロとゴールした選手もいましたが…
彩夏さんは担架で退場、記者はどうしていいか一瞬パニックに。

プロ入り初の3位

2日目の出走表に彩夏さんを見つけた時はホッとするとともに、レースが始まると今度は心配になりました。

DSC08731

スタート!黄色5番車が彩夏さん

DSC08734

前のポジョンを取って、ゴール前の勝負に備える

DSC08748

三位を示すⅢに車番5。三位までが賭けの対象

ゴールシーンは興奮してしまって
三脚で撮っていたのにブレブレ
記者は観客と共に叫び、思わず涙していました。

同じく絶叫していた女性にインタビュー
小学生からのお友達

悠(ゆう)さん、朱莉(あかり)さん
「褒め称えてあげたいです。
彩夏はお父さんと走るのを楽しみにしていました。
もう、涙がでました。」

 

 


面倒見の良い父と周りを盛り上げる娘

またまた(笑)内偵情報

DSC08817

取手競輪場がホームバンク

茨城支部・藤谷はるな(ふじたにはるな)選手

 

「彩夏さんより私の方が年上なんですけど…もう!タメ口(ぐち)なんです(笑)。
そんな感じなんですが、周囲に気を配るというか、場を盛り上げる人。
練習後に『たこ焼きパーティーやろう!』と声をかけるのも彩夏さん。
自転車は上手いですね!

お父さんの康雄さんにはデビュー前に取手競輪場で彩夏さんと一緒に練習を見てもらいました。」

2

 控室はバンクに直結している。

藤谷選手のデビュー戦は大垣競輪場

選手会茨城支部の戸邉裕将(とべひろのぶ)支部長は遠征先が一緒の康雄さんに、
「初レース、右も左も分からないはず、(同県選手がいないので)、レース後の出迎え、自転車の受け取りをしてほしい。」
と依頼したそうです。

娘がもう一人増えた!

取材の日は彩夏さんの同期、長崎の野口のぞみ選手が一緒に練習をしていました。
康雄さん「野口は彩夏の姉みたいなもの。遠征の前後によく泊まるので、朝起きると家にいるんだな。」
野口さん「私も年上ですけど(笑)、藤谷選手のコメント分かります。」
彩夏さん「野口さんは春高バレーにも出たすごい人なんですよ」とすかさずフォローしていました。

DSC09836


人生を賭け、バンクを駆ける!

IMG_9016

黙々と周回を重ね、後半に競争のように高速走行。これが何本も続く

父「位置取りを競う、娘を思う」

-競輪はシーズンオフがなく、コンディションの維持が大変そうですね。

「マッサージは3日間の開催後は念入りに、レース前にやりすぎると力が入らないんだよ。
競輪は勝つために位置取りを争う。ギリギリの中にもケガはしないようにしないと。

48歳の頃だったかな、もう十分選手を続けて来たし、そろそろ引退も考えはじめた頃、尊敬する先輩レーサーに会い50代でも良い走りがしたいと思うようになった。」

IMG_9178

DSC09877

記者と同い年、太もも2倍位ありそう

「彩夏のために、別の師匠をお願いすることが必要かと考えることがある。
先輩として良かれと思うアドバイスが伝わらない…
でも、他人に練習を見てもらうためにはもう少し上手くなってもらわないと」

娘「我慢の競技、両親に感謝」

「ハンドルさばき、車間、いろいろ考えながら先行する選手をマークして最後に勝ちに行きたいです。
競輪はケガの多い競技。ケガと向き合う、自分と向き合う我慢の職業だと思います。
まだまだこのままではいけない。上を目指したい!」

IMG_9206

プロになって嬉しい反面、悩みも多い

IMG_9302

「賞金を稼いで父や母に恩返ししたい」

「父や母に恩返しできていないんです。
いろんなスポーツをやって来たけどどれも長続きしなかった。数々の道具、ウェアを買ってくれました。

レース後反省会があっていろいろ怒られるが、まだ父のようにはできない…。
親子喧嘩は絶えない、でも、競輪に関して正面から向き合っているからだと思います。

父と『二人三脚』がしたい。」


男のドラマ、女のドラマ…、「家族のドラマ」もある松戸競輪場!

常に怪我や引退がつきまとう非情な勝負の世界
バンクを駆け抜けるアスリート父娘の体は鍛え抜かれ、走行中の表情はとても険しいのですが…

DSC09868

自転車を降りた二人と話してみると、大好きなのに喧嘩してしまう、普通の、よく似た(笑)親子でした。

この記事を書いたライター(市民記者) 千葉 淳

「人生は旅」、学校卒業後、松戸市民から転勤族に。東北勤務時代に家族と「おくの細道」をたどるサイクリングを始めました。平成26年春、転勤で帰郷。これからは”松戸芭蕉”となり旅人の目から見た「松戸」を伝えていきます。