つながってる2016年3月14日

まちをささえる人~放置自転車はどこに?

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「ちょっとだけ」が「こまったこと」に

駅前等で見かける「放置自転車」。
放置自転車とは、「道路など公共の場所に置かれている自転車で、その利用者が自転車から離れることによって直ちに移動することができない状態の自転車」のこと。
買い物や駅前施設での「ちょっとの間ならいっか」。
そう思って「ちょっとだけ」自転車を停めた方は少なくないかと思います。
ですが、その「ちょっとだけ」が積み重なると、いつのまにか道路は自転車だらけ。気づけば車も歩行者も自転車をよけながら行きかう光景が見られることが。なにより、、、視覚障がいのある皆さんのたいせつな「道しるべ」となる「点字ブロック」がふさがれていることがあります。
今回はその「放置自転車」に奮闘する皆さんのところへお話を伺いに行ってきました。

じつは減ってきている「放置自転車」

最初に伺ったのは松戸市役所交通政策課。2015年に、本庁からお引越しして竹ヶ花のビルにあります。職員の小森さんが懇切丁寧にお話ししてくださいました。

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「じつは松戸市の放置自転車の「撤去台数」は、平成9年度の約35,000台をピークに年々「減少」し、平成26年度にはピーク時の「1/3」、約9,800台にまで減っています。」

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撤去台数の推移

-それはどうしてなんですか?
「市や民間の事業者が各駅周辺に駐輪場を造ったことがひとつ。そしてもうひとつは─」
-もうひとつは?
「『放置防止指導員』の皆さんのおかげです。」

放置自転車減少の立役者

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「放置防止指導員」─駅周辺で見かけた方も多いと思います。緑色のベストと帽子を着用して放置防止のために活動なさっている松戸市シルバー人材センターの皆さんです。
シルバー人材センターは60歳以上の松戸市在住の人で構成されています。松戸市内の放置の多い駅周辺で、放置防止指導や、駐輪場への誘導をしています。就業は5人で一班。毎日日替わりであちらこちらの駅周辺で活動しています。総勢98名。

朝6時30分から夕方5時まで、3つのシフトに分かれて行っています。
松戸市旭町の「シニア交流センター」では月に2回、班の中心者である連絡員さんが集まる「連絡員会議」が開かれます。ここで市役所からの連絡事項や伝達事項を共有するのです。
この日の連絡員会議では、日曜日の放置自転車対策を話し合っていました。

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「放置防止『指導』員」というだけに「指導」する立場。一番気をつけるのが「ことば遣い」。
年に1回、接遇のプロを招いて研修も。それでもごくたまに市民から苦情がくることがあります。シルバー人材センターの職員の方が直接謝罪に伺うこともあるのだとか。
「でも、市民の方から『きょうもごくろうさま』『自転車がなくなってきれいになりましたね』と言われることもあります。そのときはやっぱりうれしいですよね~。」と言った声も。
また、「緑色のいでたち」のせいなのか、通りがかりの方に道を聞かれることもたびたび。
本来は業務外のことですが、そこは「人生の先輩」の皆さん。きちんと快く道案内をされるそう。「(指導員の)先輩から、『駅周辺のおもな施設や金融機関なんかは、ちゃんと頭に入れておくように』って言われてるんですよ」

年間撤去台数は約1万台!!

減ってきているとはいえ、それでも放置され撤去される自転車は年間約1万台。決して少なくありません。
その放置自転車はどこへ行くのでしょうか?
松戸市から委託された業者さんによって撤去された自転車は、市内5ヶ所にある自転車保管所へ移送され、ここで2ヶ月間保管されます。保管の期限が切れたあとに業者さんに払い下げられ、海外へ輸出されます。
そして昨年は、5年前の震災により被害を受けた岩手県大船渡市へ、整備された放置自転車が100台無償譲渡されました。
このときに自転車の整備をしたのは「松戸市シルバー人材センター」の技能を持った人。

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 自転車の輸送を行ったのは、放置自転車撤去業者の「(株)大倉」さん。
実に1日がかりで運んだそう。
大船渡市からの依頼に松戸市が応じ、現在は大船渡市の「レンタサイクル」に使われています。

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 「なあ~んだ!保管先に取りに行きそびれたオレの自転車はちゃんと役にたっているんだ。なら安心した!」
そう思っているアナタ!それは大きくちがうのです…。

「人様からあずかったたいせつなもの」

放置禁止区域には放置防止指導員さんだけではなく、放置自転車を撤去する業者さんもやってきます。「放置自転車移送通告書」を自転車に貼付して、一定の時間が経過したあとに撤去します。撤去作業中は放送を流し、撤去していることをお知らせしています。
その撤去作業を行うのは松戸市から委託された(株)大倉さん。こんどはこちらの方にお話を伺いました。

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-撤去作業をするにあたって気をつけていることはなんですか?
「なんたって人様のものをお預かりしますからね。とにかくたいせつに扱うようにします。自転車を倒さないように、傷つけないようにと。とはいえ、のんびりやっていてもいけない。トラックに積む台数も時間も限られていますから。そりゃもう必死ですよ。」
笑いながら話してくれましたが、ときには文句を言われることも。
「でもね」
「小さなこどもの顔の高さに自転車の荷台があるわけです。もしここに小さなお子さんが走ってきたらたいへんだと。安全な通行空間のため、撤去をしています。」

さまざまなことに対応するため、気をつけることをマニュアル化していたらその項目はなんと200!
「たいへんかもしれませんが、市から仕事を請け負っているということはそういうことなんです。」

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やさしい松戸はこんなに人たちに支えられている

今回の取材を通して、1台の放置自転車に対してこんなにも多くの人の手と思い、もちろんお金もかかっているのだと実感しました。
かかわっている一人ひとりが「市民の皆さんのため」「松戸市役所の看板をしょっている」という熱い思いを持っているのだということもわかりました。
「やさしさ」とは人知れず地道に活動する人があってこそなのだということを教えていただきました。
松戸市交通政策課・シルバー人材センター・放置防止指導員・(株)大倉のそれぞれの皆さん、ほんとうにありがとうございました。

この記事を書いたライター(市民記者) 小川 照美

大分県出身、松戸在住23年になります。食べ歩きが趣味です。「人の魅力が街の魅力」そんなことを伝えることができればと思っています。